一流は無駄に敵をつくらない。モルガン・スタンレーで学んだ「言ってはいけない」7つの口癖

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「上司や同僚から信頼され、部下から慕われる、一流ビジネスパーソンになりたい」
「個人としてもチームとしても結果を出し、人間関係を円滑にしながら昇進を叶えたい」

そんな人に知ってほしい、「言ってはいけない7つの口癖」をご紹介します。どれも、私が勤めていたモルガン・スタンレーNY本社で活躍する先輩方から教わったもの。一流ビジネスパーソンは口癖も一流なのです。

1.「いつも」

一流は、「いつも(Always)」や「一度も〜ない(Never)」などと “決めつけ” で話すことはありません。逆に、仕事はできても嫌われる二流の人ほど、断定口調で話す姿が見られます。

【二流の口癖】

彼は毎回ミスするね。
(He always makes an error.)

彼女はいつも遅れてくるよね。
(She’s always late.)

彼は自分自身でタスクを仕上げた試しがない
(He never completes his task by himself.)

彼女は期日通りに仕事を終えたことがない
(She never finishes her task on time.)

批判を受けている本人が耳にしたら、話し手とのあいだの信頼関係にヒビが入ってしまうことは確実。たとえ自分について言われているわけではなくても、チームメンバーが強い断定口調で批判されるのは、聞く側にとって苦痛です。

一流はそれをわかっているので、「いつも」「毎回」などの断定を避けた表現をします。

【一流の口癖】

彼は普段ミスなんてしないのに、どうしちゃったのかな。
(He seldom makes an error, but I’m curious why he made one this time.)

一流は、常に相手への敬意を欠かさず、相手に配慮した言葉遣いをするもの。だからこそ、「断定しない」「批判しない」ことを徹底しているのです。

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2.「〜と比べて」

一流は「(他人)に比べてあなたは〜」と、ほかの人と比較して相手を下げるような表現はしません。逆に二流の人は、思ったことを思ったまま言葉にして、無駄に敵をつくってしまいます。

【二流の口癖】

きみはいったい何をやっているんだ? スーザンのほうがきみよりよっぽどできるじゃないか!
(What’s the matter with you? Suzan is doing much better than you!)

このセリフを吐いた先輩は、一年後にいなくなりました。まわりと信頼関係を築けなかったゆえに評価が下がり、チームにいられなくなったのでしょう。

結果を出すためにチームビルディングを大切にしている一流は、他人と比較してダメ出しするのではなく、相手の立場に立って配慮のある助言をします。たとえば、チームの部下が与えられたタスクをうまく処理できなかった場合。

【一流の口癖】

スーザンは〜が得意だよね。だから、きみが最短でタスクを終え、次のタスクに取りかかれるよう、彼女に取り組み方を聞いてみてもいいかもね
(Suzan is good at 〜. So you may want to ask her how to tackle it, so that you can work on another task as soon as you finish it.)

相手の気分を害さずに、改善案を伝える。さらなる挑戦のため、モチベーションを高める。このように一流は、他人と比較して相手の意欲を削ぐのではなく、未来を見据えて相手のやる気を引き出す表現を心がけているのです。

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3.「時間がない」

一流はたとえどんなに忙しくても、チームのために時間をつくります。逆に二流の人は、常に個人のタスクに追われているため、仕事を依頼されても「いま時間がないから」と突き放したり、個人のタスクを優先して断ったりします。

【二流の答え方】

Q. これやってもらえる?
(Can you do this?)

A. いま時間がないんです。
(I don't have the time right now.)

4.「やります!」

では、仕事を依頼されたとき、すぐに「やります!」と返せばいいのでしょうか? 

じつは、それも違います。

【二流の答え方】

Q. これやってもらえる?
(Can you do this?)

A. よろこんで、やらせていただきます
(Certainly, I’ll work on it.)

単に言われるがままに依頼を引き受け、期日などの詳細確認を怠ると、仕事を計画的に進めることができません。依頼されたタスクを期日までに終えることができず、チーム全体に迷惑をかけてしまうこともあるでしょう。これは “二流” のやり方。

それでは、仕事を依頼されたとき、一流はなんと答えるのでしょう? モルガン・スタンレーNY本社で指導される “正解” はこちら。

【一流の答え方】

Q. これやってもらえる?
(Can you do this?)

A. よろこんで! いますぐ着手します! ところで、いつまでに必要でしょうか? (Certainly, let me work on it right away. By the way, when would you want me to finish it?)

「いますぐ取り組む」という前向きな姿を見せると同時に、締め切り期日を確認する。一流は、このひと工夫で「積極的な姿勢」と「計画的なタスク遂行」のふたつを叶え、チームへの貢献を確実なものにするのです。

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5.「あなたの問題だ」

一流は部下や同僚から相談を受けたときに、親身になって相談にのります。逆に二流の人は、「それはあなたの問題だ(自分で解決しなさい)」「私の仕事ではない(知ったこっちゃない)」などと、相手を突き放す冷淡な表現をします。

【二流の口癖】

それはあなたの問題です。
(That's your problem.)

私の業務範囲ではありません
(This is not my job.)

のちにチームを去っていった二流の先輩は、部下が困って相談に行っても、相手に手を差し伸べることはしませんでした。一方、どんどん昇進していく一流の先輩は、どんなに忙しくても時間をつくり、対話を通して相手を誘導することで解決に導いたのです。

【一流の口癖】

問題はなんだい
(What’s the problem?)

なぜ、それが問題だと思うんだい?
(What makes you think that’s a problem?)

解決するために何をしたの
(What did you try to solve the problem?)

ほかの方法は考えた
(Have you thought about other alternatives?)

相手が自身でうまく答えを導けるよう、対話を進めていきます。これは、相手の本来もつ力を心から信じていないとできないこと。一流はチームメンバーを信頼し、尊重すると同時に、チーム全体のためにサポート役に徹する手間を惜しまないのです。

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6.「できるかぎりのことはした」

一流はたとえ結果が出せなかったとしても、真摯に現実を見つめ、改善策を考えて実行に移します。逆に二流の人は、「できるかぎりのことはした」「私のせいではない」と責任から逃れようとします。

【二流の口癖】

一応、ベストを尽くしました
(Well, I did my best.)

私のせいではありません
(This is not my fault.)

ベストを尽くすのは社会人として当たり前なので、言うまでもありません。こんな言葉遣いをしていては、ビジネスパーソンとしての常識が疑われてしまいます。

責任の所在を曖昧にするのもNG。まわりは自分が思っている以上に真実を見抜くもの。さらに、責任から逃れようとする姿勢そのものがプロフェッショナルからはほど遠いと言えます。

【一流の口癖】

誠に申し訳ありませんでした。いますぐ修正いたします
(Sincerely my apology, let me fix it right way.)

心からお詫び申し上げます次回はこのようなことのないようにいたします。間違った箇所を教えていただけると幸いです。
(Sincerely my apology, let me get it right next time. By the way, it would be helpful if you can guide me with the errors that I’ve made. )

思うような結果が出ないときも、現状を客観視し、力不足を認めたうえで改善のための行動がとれるか否か——状況がよいときではなく悪いときに、真の一流であるかが試されるのです。

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7.「わかりません」

一流は、わからないことについて聞かれたら、すぐに求められている情報を見つけてきます。逆に二流の人は、単に「わかりません」と伝えたり、正確なことがわからないまま「たぶん〜だと思います」といい加減なことを言ったりします。

【二流の答え方】

Q. 〜について知ってる?
(Do you know 〜?)

A. いいえ、知りません
(No, I don’t know.)

A. たぶん〜ではないでしょうか
(Maybe 〜 ?)

質問者は、答える側に「知識があるか」を知りたいのではなく、「〜は何でどんなものなのか」という具体的な情報が知りたいもの。質問者の真意を理解すれば、 “Yes” または ”No” の返事で終えるべきでないことは想像にかたくないでしょう。

さらに、知識もないのに知ったかぶりをして、勝手に推測するのもNG。不正確な情報を与えて、チームが不利益を被ることになったら、大きな迷惑をかけてしまいます。これらはどちらも “二流” の答え方。

【一流の答え方】

Q. Do you know about 〜?
(〜について何か知ってる?)

A. いま答えはありませんが、すぐに調べてきます
(I don’t have the answer right now but let me get it right away.)

A. 担当者である〜に確認させてください。わかり次第ご連絡申し上げますいつまでにお答えできればよいでしょうか
(Let me check it out with [person’s name] and I’ll get back to you as soon as I can. By what time do you need the answer?)

もし聞かれたトピックについて明るくないのであれば、すぐに信頼できる情報を探すことが重要。一流は、相手の真意を見極め、相手の思考や感情に寄り添って言葉を発するのです。

***
外資の一流は、個人でもチームでも結果を出せる人。それが価値を生み、高評価や高収入につながるとわかっているからこそ、チームメンバーとの信頼関係構築に人一倍気を使います。そんな一流のマインドが如実に表れるのが「口癖」。あなたもぜひ、日々のコミュニケーションに取り入れてみてくださいね。

【ライタープロフィール】
Stephen Pong(スティーブン・ポング)
青山学院大学卒。モルガン・スタンレーNY本社に新卒で入社し、東京支店でも勤務。リーマン・ブラザーズに移り、東京支店およびNY本社でキャリアを重ねたのち、メリルリンチ日本証券にて初代WEBマネージャーを務める。その後、ライブドアへ転職し、WEB事業部・戦略コンサルティング事業部(電通へ出向)・ファイナンス事業部にて勤務。現在は独立し、ビジネスパーソン向けに外資系企業への転職支援を行なう。

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