
「入社○年めの自分は、会社のことをよく知っている。だから若い人たちに教えてあげないと」
「自分が受けもっている仕事の量は誰よりも多い。きっと優秀だと見なしてもらえているのだろう」
こんなふうに思ったことはありませんか? キャリアを積むと自然と自信がついてくるものですが、その自信が裏目に出て、まわりから「要注意人物」として煙たがられてしまうケースも少なくありません。
本記事では、職場で「仕事ができないのにできると思っている人」の特徴を7つ紹介し、その背景にある心理や対処法を詳しく解説します。さらに、自分自身が勘違いタイプにならないための方法や、本当に「できる人」と評価されるためのポイントもご紹介していきます。
反対の「仕事ができる人」について詳しく知りたい方は、「圧倒的に仕事ができる人の特徴14選。仕事ができる人はこれが得意!」をご覧ください。
- 「仕事ができないのにできると思っている人」の特徴7選
- 仕事で自己過大評価をするリスク・問題点
- 「仕事ができないのにできると思っている人」への対処法
- 仕事ができる人として周囲から評価されるためには?
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
「仕事ができないのにできると思っている人」の特徴7選
1. 会社や周囲の人を批評している
「うちの会社はもっと給料を上げるべきだよ」「あの人は優秀だけど、この人は微妙だよ」など、やたらと社内や同僚を批評する人がいます。
本人は「自分は冷静に会社を見ている」「意見をしっかり持っている」と思っているかもしれません。しかし、実は承認欲求を満たすために"上から目線"の批評をしているケースが多いのです。
総合テクノロジースクールを運営する株式会社divの代表取締役、真子就有氏によれば、こうした人は「すごい人だと思われたがっている」傾向にあり、特に若手や部下など立場の弱い相手に対して批評をする特徴があるといいます。
結果的に「口ばかりで動かない」「否定的な意見を言うだけで改善しない」などの印象を与え、周囲から距離を置かれる原因になってしまいます。
2. 自信たっぷりにアドバイスする
「常識的に考えて、こうすればいいのに」「まだできてないの? 仕方ないなあ……」と、断定的・上から目線の口調でアドバイスしてしまう人もいます。自分では親切心から言っているつもりでも、相手からすると命令口調に聞こえ、反発やストレスを生みやすいです。
背景には「自分の実力は平均以上」という思い込みがある場合が多く、相手の立場や状況を十分に考慮できていないのが特徴。アドバイスをする際は、まず相手が本当に助言を求めているかどうかを見極め、「何か力になれることある?」と控えめに声をかける程度が無難です。
3. 仕事を抱え込んでいる
プレゼンの準備にクライアントの訪問、後輩の指導まで引き受けて毎日残業。同僚が見かねて「手伝うよ」と言っても「大丈夫」の一点張り……。
こうした「抱え込み」は、心理カウンセラーの小高千枝氏によれば、「職場で認めてもらいたい」「同僚に嫌われたくない」という気持ちが背景にあるといいます。しかし、業務を抱え込むと判断力が低下して優先順位をつけられなくなり、仕事の遅れにつながってしまいます。
小高氏は、抱えている仕事を「優先」(自分にとって必要で、「○○したい」と思うこと)と「要請」(会社にとって必要で、自分が「○○すべき」と思うこと)に分類し、バランスをとることをすすめています。これにより、自分がしなくても大丈夫な業務や、手伝ってもらったほうが効率的な作業が見えてくるでしょう。
優先:後輩の指導をしたい、同僚のプロジェクトを手伝ってあげたい
要請:来週にあるプレゼンの準備をすべき、上司から頼まれている資料を作成すべき
たとえば上記のように業務を整理していくと、自分がしなくても大丈夫そうな業務や、誰かに手伝ってもらったほうが早く終わる作業が見つかるでしょう。上の例にある「同僚のプロジェクトの手伝い」は、必ずしも自分が引き受ける必要はないかもしれません。余裕がなければ、「優先」の項目は別の人に頼ってもいいでしょう。
なお、別の誰かに仕事を任せたいときは、「どんな仕事をやってほしいか」「なぜその人に頼むのか」などの情報をはっきり伝えることが大切だと小高氏。「あなたはリサーチが上手だから、同僚のプロジェクトの手伝いをお願いしたい」といった感じです。周囲と信頼関係を築きつつ、スムーズに仕事を進められます。

4. なんでも完璧にやろうとしている
「簡単でいいから、急いで資料をつくって」と上司に言われたにもかかわらず、入念にリサーチをしたり、細かい言い回しや文書のレイアウトを気にしたり……。
精神科医の岡田尊司氏によれば、完璧主義とは「あらかじめ期待していたことを、その通りに行わないと、すべてが台無しになったような失望や苦痛を感じる心理的なとらわれ」のこと。自分の理想を追い求めるだけでなく、他人へも完璧な出来を求めるケースもあるそうです。
企業研修を行なう株式会社さすがコミュニケーションズ代表の岩田ヘレン氏は、完璧主義を脱するために「小さく始める」ことや「時間を決めてやる」ことを提案しています。タイマーをセットして、時間が来たら切り上げる訓練をすることで、期限を守る意識が高まるでしょう。
Before 完璧主義のときは……
「文章も見た目もまったく問題ない資料をつくる」のように完璧を目指すせいで、仕事へ取り組むスピードが遅くなり、同僚にうんざりされる
After「小さく始める」を実践すれば……
「まずは大事な内容だけ箇条書きにする」のように小さなことからチャレンジすると、ハードルが下がって仕事へ取り組むスピードが上がり、同僚に信頼される!
5. 地位や役職がある
ある程度の地位や役職に就いていると、「自分は管理職だから有能」「ここまで出世したんだから仕事ができるはず」と、自身の能力を過大評価しがちです。
しかし、役職と実務能力は必ずしも比例しないのが現実。昔の実績や人脈で昇進した場合や、組織の事情で抜擢された場合など、必ずしも今の実力だけが高いとは限りません。
地位が高いことを"能力"ではなく"権力"として捉えていると、具体的な仕事の質を省みなくなり、「部下に仕事を丸投げしても問題ない」「指示さえ出せば自分は評価される」と思い込んでしまいます。周囲からは「ただ威張ってるだけ」と見られかねないので注意が必要です。
6. 他人の手柄を自分のものにする
周囲が頑張ってあげた成果を、自分の功績としてアピールするケースも少なくありません。たとえばプロジェクトで後輩が苦労して作り上げた資料を「自分のアイデアで成功した」と報告するようなケースです。
こうした行動の裏には、「実力がないのに評価されたい」という思いが隠れています。他者の成果を自分の能力とすり替えることで、社内外に「仕事ができる人」という虚像を維持しようとしているのです。
結果として周囲のモチベーションを大きく損ない、チーム全体の生産性や信頼関係に悪影響が及ぶリスクが高まります。
7. 過去の実績に固執している
「昔、◯◯のプロジェクトで成果を出した」「かつては売上トップだった」など、過去の成功体験にしがみついているパターンも要注意です。
もちろん実績は大切ですが、それが今の仕事や時代の変化に通用しているとは限りません。過去の実績を過度に誇ることで、「今も同じようにやればうまくいく」と思い込んでしまうと、新たなスキル習得や柔軟な発想を妨げてしまいます。
時代や社内体制が変わっても「やり方を変えない」ために、結果が伴わず周囲を困惑させることも少なくないでしょう。

仕事で自己過大評価をするリスク・問題点
「仕事ができないのにできると思っている=自己を過大評価している」状態には、以下のようなリスクがあります。
1. 生産性が下がる
自己過大評価している人がいると、チーム内での役割分担がうまくいかず、業務効率が落ちる可能性があります。たとえば重要なタスクを任せても期限や品質が守られず、最終的には誰かがフォローに回らなければならないことに。結果、メンバーの負荷が増し、不満を抱えた優秀な人材が離職を検討することもあるでしょう。
2. チームや取引先の信用を失う
「口先だけで実力がない」「仕事が雑なうえに自信満々」と思われると、取引先やチームメンバーの信用が急速に低下します。
- 取引先との関係性が悪化して契約を失う
- 社内での人事評価が下がり、昇進が遠のく
- 協力体制が崩れ、周囲のモチベーションが下がる
など、影響は多方面に及びます。
3. チームの雰囲気が悪くなる
過大評価タイプの人が上から目線で指示・批評を続けると、職場の風通しが悪くなる原因にもなります。信頼が得られないため、周囲が「本音で話しても理解してもらえない」と感じ、仕事の報連相が滞ることも。
結果としてコミュニケーション不足→ミスの増加→さらに人間関係が悪化という負のサイクルに陥りかねません。
4. 成長を妨げる
「自分はできる」と思い込んでいると、新しい挑戦やスキル習得の必要性を感じにくいものです。その結果、変化の激しい現代社会で時代遅れになり、成果が出せなくなる危険性があります。
失敗から学ぶ機会も失い、結果として職場での価値を低下させてしまうでしょう。
5. 人事評価やキャリアへの悪影響
自分を過大評価している人は、見合った成果が伴わないことが多いため、長期的には評価を下げてしまう可能性があります。
「大口を叩いたのに実績が出ていない」「頑張っている雰囲気だけで、結果を残せない」などが続けば、信頼を失って昇進やキャリアアップのチャンスを逃しかねません。
6. 職場の離職率の上昇
自信過剰な人物が上司やリーダーである場合、周囲の優秀な社員がフラストレーションを抱え、組織を去ってしまうリスクが高まります。
現場の声を拾わず、自己評価ばかりを押しつける上司のもとでは、モチベーションが下がってしまうのも当然でしょう。こうした職場環境の悪化は、結果的に企業全体の離職率を押し上げる要因になりかねません。

「仕事ができないのにできると思っている人」への対処法
周りに"勘違いタイプ"の同僚や上司、部下がいる場合、どのように付き合えばいいのでしょうか? ここでは立場別の対処法を紹介します。
1. 部下の場合は明確な指示出しやフィードバックを心がける
部下が自己過大評価に陥っているときは、何をいつまでに、どのようなクオリティで行うかを明確に提示しましょう。
- 具体的なゴールと期限を設定する
- 定期的に進捗確認やフィードバックを行う
- 1on1ミーティングなどで悩みや現状の課題をヒアリングする
こうした手順を踏むことで、部下が実力不足に気づきやすくなり、改善へのモチベーションが高まります。
2. チーム内で報連相を心がける
同僚やチームメンバーに"勘違いタイプ"がいる場合、報告・連絡・相談(報連相)の徹底が重要です。
仕事の進捗やタスクの分担を明文化し、誰がどこまで責任を負うかを明らかにしておくことで、抱え込みや丸投げを防ぎ、結果的に生産性を維持しやすくなります。
また、ランチミーティングや朝会などを活用して「気軽に相談できる雰囲気」をつくることもポイントです。
3. 上司の場合は間接的な対処がおすすめ
上司自身が「仕事ができないのに自信満々」なケースは、部下が直接指摘しにくいもの。組織として改善を図るには、さらに上の管理職や人事へ相談するのが得策です。場合によっては異動や配置転換で、上司の権限を適切に調整してもらう必要もあるでしょう。
一方、あなた自身がスキルアップして上司を追い抜き、"口出しされにくい立場になる"というのも一つの方法です。客観的に実績を積み重ね、周囲の信用を得ることで、上司からの不当な圧力を回避できる場合があります。
仕事ができる人として周囲から評価されるためには?
「勘違いタイプ」にならないためには、自分の実力を客観視しつつ、日々アップデートしていく意識が欠かせません。ここでは、本当の意味で評価される人材になるためのポイントを紹介します。
1. 業務やタスクの優先順位を決めて仕事をする
まずは、取り組むべき業務を重要度と緊急度で仕分けし、優先度を明確化する習慣をつけましょう。
- 緊急かつ重要な業務→最優先で着手
- 重要だが緊急でない業務→時間を確保して計画的に進める
- 緊急だが重要でない業務→必要最低限に抑え、可能であれば他者に依頼
- 重要でも緊急でもない業務→タスクの合間に処理するか、後回しにする
こうしたフレームワークを徹底するだけで、ムダな残業が減り、結果を出しやすくなります。
2. 失敗から学んで成長する
"できる人"は失敗を恐れません。トライ&エラーを繰り返しながら、PDCAサイクル(Plan→Do→Check→Action)を回して次に活かします。
失敗した原因や改善策を客観的に分析し、同じミスをしないよう組織的にシェアすることで、周囲からも「積極的に学んでいる」と評価されやすくなるでしょう。
3. リスキリングに取り組む
ビジネス環境の変化が激しい現代において、リスキリング(新しいスキルや資格を習得し直すこと)の重要性はますます高まっています。
社内研修やオンライン講座でITスキルを学んだり、語学力を強化したりすることで、業務の幅が広がり、キャリアアップにもつながるはずです。
リスキリングの中でも英語力はどの職種でも重宝されるスキル。英語スキルを磨くことで、現在の専門性と英語をかけ合わせることでより評価されやすくなるでしょう。
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よくある質問(FAQ)
1. 仕事が出来ないのに出来ると思っている人は病気の可能性がありますか?
「自己愛性パーソナリティ障害」のように、過度な自己愛が原因で周囲とのトラブルが生じる場合もあるようです。ただし、医療専門家による正式な診断がない段階で「病気」と決めつけることはできません。
また、単にプライドが高かったり、周囲の評価を気にしすぎる性格が影響している可能性も考えられます。本記事は医療的な見地からのアドバイスを目的としたものではありませんので、もし深刻な悩みや不安がある場合は、カウンセラーやメンタルクリニックなどの専門機関に相談することを検討してみてください。
2. 仕事が出来る人と出来ない人を見分ける方法はありますか?
一概には言えませんが、以下のようなポイントをチェックすると目安になります。
- 計画性がある(タスク管理やスケジュール調整が適切)
- コミュニケーション力が高く、感謝や謝罪がスムーズ
- 危機管理能力があり、トラブルにも臨機応変に対応できる
- 結果とプロセスの両方を振り返り、次の行動に活かす
こうした特徴を複数満たしている人は、仕事の質が高いケースが多いでしょう。
詳しくは「圧倒的に仕事ができる人の特徴14選。仕事ができる人はこれが得意!」も要チェックです。
まとめ
「仕事ができないのにできると思っている人」が煙たがられるのは、実際の能力と自己評価にギャップがあり、周りに迷惑やストレスを与えてしまうからです。特に役職についているのに部下の成果を横取りしたり、過去の実績ばかりに頼ったりする人は、組織全体の生産性を下げるリスクも高くなります。
一方で、自分自身が「もしかして仕事ができると勘違いしていないかな?」と不安な場合は、客観的に評価を振り返り、必要なスキルを磨く努力をすることが重要です。タスク管理やPDCAの徹底、リスキングによるスキルアップなどを通じて地道に成果を積み重ねれば、自然と周囲からの信頼や評価も得られるでしょう。
なかでも英語力は、グローバルな情報収集や海外とのやりとりなどで重宝されるスキル。職場での評価を高めたい方は、90日で英語力を向上させることができる
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のような英語学習サービスを活用してみるのもおすすめです。正しい努力を積み重ね、誇れる実績をつくってこそ“本当に仕事ができる人”への道が開かれるはずです。
【ライタープロフィール】
藤真 唯
大学では日本古典文学を専攻。現在も古典文学や近代文学を読み勉強中。効率のよい学び方にも関心が高く、日々情報収集に努めている。ライターとしては、仕事術・コミュニケーション術に関する執筆経験が豊富。丁寧なリサーチに基づいてわかりやすく伝えることを得意とする。
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