付箋の「本当の使い方」を把握していますか? 付箋とは、メモ書きとして一時的に貼りつけられる小さな紙。シンプルなだけに、さまざまな使い方が考案されているのです。
今回は、付箋のいろいろな使い方をご紹介します。あなたが思いもよらなかった付箋の使い方が見つかるかもしれませんよ。
付箋とは
付箋の使い方を考える前に、付箋とは何か確認しましょう。付箋とは、何かに張りつけることができる小さな紙。付箋が普通のメモ用紙と異なるのは、ノリがついていることです。そして、付箋には以下の3つのメリットがあります。
- 物に貼りつけられる。
- メモを書き込める。
- 目立たせることができる。
これらの特徴を利用した付箋の使い方を、シチュエーション別に紹介します。
付箋の使い方1:仕事
まずは、仕事における付箋の使い方を4つ紹介します。
注意点を書き込み、目につく場所に貼る
付箋は、ミスを防ぐのに役立ちます。
たとえば、「棚から資料を取り出したあとは、整頓して戻さなければいけないのに、よく忘れてしまう」と困っているなら、付箋に「使ったら整頓する」と書いて棚に貼っておきましょう。片づけるとき、どうしても注意書きが目に入るので、「整頓しなければいけないんだ」と嫌でも思い出せますよ。
出会った人の特徴をメモし、名刺に貼る
せっかく多くの人と出会い、名刺を交換しても、どんな人だったか後から思い出せなくて困った経験はありませんか? 記憶に何も残らず、手元に名刺が残っただけでは、人脈を築いたとはいえませんよね。
次からは、出会った人の特徴を付箋にメモし、名刺に貼ってみてはいかがでしょう。会話で得た情報(出身地や食べ物の好き嫌いなど)、外見などを記録しておくのです。あとで名刺を見返したとき、「そういえば、こんなことを話したっけ」と記憶がよみがえりやすいですし、次に会うときに会話を切り出しやすくなりますよ。
同僚にメッセージを伝える
円滑なコミュニケーションに役立つ付箋の使い方もあります。今の時代、単にメッセージを送るだけであれば、メールやSNSでも可能です。しかし、パソコンの画面上に表示された「この資料を10部印刷しておいてください」という文字列は少し無機質な印象を受けます。それに対して、付箋での伝言ならば、手書きの文字を見ることになるので、柔らかくメッセージを受け取ることができます。
一般社団法人手紙文化振興協会代表理事のむらかみかずこ氏は、付箋で「おつかれさまです」のようなメッセージを受け取ったら、嬉しく思う人はいても不快に感じる人はいないだろうと話します。たしかに、チャットやSNSで簡単にメッセージが送れる時代だからこそ、わざわざ付箋を用意して手で書いて……という手間をかけると、特別感が生まれますね。
他の人に伝言をする機会の多い方は、こんな付箋の使い方も試してみるとよいでしょう。
アイデアを書き込み、分類する
アイデアを整理する、という付箋の使い方もあります。付箋は、一枚一枚を後から移動・整理することができるので、アイデアを項目ごとに分類する作業にぴったり。
Study HackerではKPT法を付箋を用いて実践する方法を紹介しています。KPT法とは、自分の行動を振り返り、目標達成につなげる方法です。KPTはそれぞれ、Keep(よかったこと、続けること)、Problem(問題点や反省点)、Try(次にやるべきこと)を意味しています。
例えば、会社で新しい企画についてプレゼンをした日を振り返り、KPT法を実践してみましょう。Keep・Problem・Tryをそれぞれ付箋に書き出します。1アイデアにつき1枚の付箋です。
- Keep:前日に2回、プレゼンの練習をできた。
- Problem:質問されることを想定しておらず、質疑応答でしどろもどろになってしまった。
- Try:家族につきあってもらい、質疑応答の練習もする。
K・P・Tの3つにスペースを区切ったホワイトボードを用意し、これらの付箋をそれぞれの枠内にぺたぺたと貼っていきます。付箋を使ったKPT法には以下のようなメリットがあります。
- 付箋の色を使い分けることで、情報を視覚的にまとめやすい。
- 書き出したアイデアを自由に並び替えられる。
- 小さい付箋は文字で埋めやすいので、短いアイデアを次々に書き出せる。
この「アイデアを付箋に書き出し、後でまとめる」という方法は普段から利用することができます。考えをまとめるのが苦手だという方は、この付箋の使い方を試してみるとよいでしょう。
付箋の使い方2:勉強
続いては、勉強における付箋の使い方について紹介します。
暗記する単語を隠す
付箋の使い方には「文字を隠す」というものがあります。重要な単語を覚える際、「矢印型の付箋を使って強調する」という方法は一般的ですよね。この方法を少し工夫して、付箋で重要な単語を隠してみましょう。このように簡単な方法で、教科書やノートが問題集になります。
「ココフセン」シリーズなど数多くの付箋を世に送り出している株式会社カンミ堂は、「隠すための付箋」も開発しています。覚えたい単語に付箋を貼ったあとは、覚えられるまで何度も「答え合わせ」をするのだそうです。
問題集を買うのにお金をかけたくないという人は、この付箋の使い方を試してみてはいかがでしょう。
英単語を書き、家中に貼る
外国語を覚えるのに便利な付箋の使い方があります。外国語を習得する際に最初の壁になるのが、単語の暗記です。しかし、上で述べた通り、単語とそのイメージを強固に結びつければ記憶しやすくなります。
たとえば冷蔵庫に「refrigerator」と書かれた付箋を貼りつけてみましょう。すると、冷蔵庫を開け閉めするたびに「refrigerator」というつづりが目に入り、冷蔵庫と「refrigerator」を結び付けやすくなります。また、冷蔵庫を開ける際には「I open the refrigerator door.」と自分の行動に関する英文を作ってみると、より記憶しやすくなります。英単語などの暗記に困ったら、試してみるとよいでしょう。
「付箋ノート」を作る
近年は、新しい付箋の使い方が流行しています。それが「付箋ノート」です。
ノートをとる際に大切なのは、情報がきちんと整理されていること。後から見て、ノートに書かれた情報のつながりが分かることが大切です。
付箋は貼ってはがすことができ、色の違う付箋を用いることで情報の種類を分けられます。そのため、付箋を使えば、情報が整理されたノートを簡単に作ることができるのです。これが「付箋ノート」です。
やり方は簡単。カラフルな付箋に情報を書き込み、ノートに貼るだけです。重要度別や暗記の必要性など目的・内容によって付箋を色分けすれば、一目で見やすいノートになりますよ。
例えば、世界史の勉強で「西洋で起きたこと」を赤の付箋に書き、「東洋で起きたこと」を黄色の付箋に書いて、ノートに貼り付けます。もし付箋のレイアウトが気に入らなかったり、後から情報を付け加えたりする場合は、付箋を自由に並び替え、後から付箋を付け加えればよいでしょう。
何よりのメリットは、ノート作りが楽しめることです。付箋は、色だけでなく柄や形の異なるさまざまな種類がありますし、見た目のカラフルさ、華やかさからSNS映えします。勉強のモチベーションが続かない、ノートをうまくまとめられないという方は、このような付箋の使い方を試してみてはいかがでしょうか。
付箋の使い方3:手帳
手帳管理が楽しくなる付箋の使い方をご紹介します。先ほど紹介した付箋ノートを応用すると、スケジューリングも簡単に行えるのです。
付箋にスケジュールを書いて、手帳の該当する場所に貼るだけと、やり方は非常に簡単。予定が変更になった際は付箋を貼りかえるだけで済むので、手帳が打消し線でぐちゃぐちゃになることはありません。そして、予定が無くなって空いたスペースは白紙のままなので、そのスペースをまた違うことに使えます。
そして、手帳のスケジュールページに書き込むスペースが足りなくなったときは、大きい付箋を貼ることで、ページを「拡張」することができます。1週間分あるいは1カ月分のメモや予定を1ページにまとめて書き込めるので、大事な予定を見逃しにくくなります。手書きの手帳を使用している方は、この付箋の使い方を試してみてはいかがでしょう。
付箋の使い方4:日常
付箋の使い方は、仕事や勉強で便利なものだけではありません。その他の場面でも、付箋は大活躍です。日常での付箋の利用法を2つ紹介します。
読書での気づきをメモする
付箋の使い方によっては、あなたの読書がもっと豊かになりますよ。あとでノートにまとめるため、本を読みながら付箋に感想を書き、本のページに貼っておきましょう。
考えながら本を読み、内容をノートにまとめることによって、漫然とした読書よりもたくさんのことを得られるようになります。ベストセラー『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(東洋経済新報社、2018年)の著者・西岡壱誠さんは、本から得た知識を活用するためには「自分の頭で考えて読むこと」が必要だと述べます。「へえ、そうなんだ」と、本に書いてあることをそのまま受け入れるのではなく、「どういうこと?」「本当かな?」と自分の頭で考えないと、知識を「活用」することはできないそう。
例えば文中に「ここは複数の説がありますが……」という箇所があったとします。そこを「そうなんだ」と流すのではなく、「なぜ諸説あるのか?」「他の説はどういったものか?」と追究して、読みを深めていくのです。
本を読んでいる中で生じた疑問はすぐに忘れてしまうものです。そのため西岡さんは、読みながら抱いた意見や疑問点は付箋に書き込んで本に貼り、読了後には感想をノートにまとめていると言います。このような付箋の使い方は新聞を読む際にも応用することができるので、おすすめです。
タスクをメモし、目につく場所に貼る
付箋の使い方には「タスク管理」もあります。1枚の付箋に1つのタスクを書き込んで、パソコンの縁やデスクなど、目に見える場所に貼っていきましょう。そして、タスクが終了したら付箋を捨てます。このようにすることで、仕事中、いつでもタスクが目に入ってくるので、やるべきことを忘れてしまうことがなくなります。
また、1枚のホワイトボードやノートのページをTo do(予定)、Doing(実行中)、Done(終了)などに分割し、目につく場所に置くことで、付箋ノートのようにタスクを管理することもできます。
タスクを管理するうえで注意してほしいのは、付箋の上に付箋を重ねないことです。こうしてしまうと、下の付箋が見えなくなり、タスクを忘れてしまう可能性が高くなります。付箋を貼るスペースが足りないときは、重ねて貼るのではなく半分ぐらい位置をずらすようにするとよいでしょう。このような付箋の使い方は、すでに多くの人が実行しているかもしれませんね。
フィルム付箋(透明付箋)の使い方
ここからは、付箋の種類に応じた使い方を紹介します。
フィルム付箋(透明付箋)は透明で、貼った部分にもともと書かれてあった文字が見える特徴を持った付箋です。そのため、「教科書の図表を利用してメモを取るけれども、教科書は汚したくない」という場合に利用することができます。例えば、数学で補助線が重要となる問題では、透明な付箋を図の上からはりつけ、そこに書き込みをすることで、何度も同じ問題を解くことができますよ。
ロール付箋の使い方
ロール付箋の使い方は、少し独特かもしれません。裏面が全面のり付けされており、適当な長さに切って使用できるロール付箋。紙の全面が糊付けされているため、通常の付箋に比べて、はがれにくいという特徴があります。そのため、自分の名前を書き込み、ものに貼りつけるなど、ラベルとして使うことができます。
極細付箋の使い方
極細付箋の使い方に悩む人もいるのではないでしょうか? 極細付箋は幅が5mm程度の付箋です。読書に極細付箋を使用すると、本に多くの目印をつけることができます。
また、極細付箋の中には矢印の形をしたものがあり、こういった付箋は目印として使用することができます。色が鮮やかな付箋が多く、注目を引きやすいのでおすすめです。
可愛い付箋の使い方
可愛い付箋の使い方は、ご想像がつくかもしれませんね。付箋の中には、動物やキャラクターをかたどった可愛い付箋があります。こういった付箋はメッセージを伝える際に使うことによって、多少厳しいメッセージでも、優しく伝えることができたり、会話のきっかけを作ったりすることができますよ。
***
付箋には、様々な種類や使い方が存在します。まずは一度、付箋を使用してみて、それから自分の用途に合った付箋を選ぶとよいでしょう。ぜひ、ここで紹介した付箋の使い方を試してみてください。
(参考)
コトバンク|付箋/附箋(読み)フセン
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【ライタープロフィール】
村瀬裕一
早稲田大学大学院先進理工学研究科所属。松本深志高校出身。日々、細胞の微小管について研究をしている。趣味はゲーム・カメラ・旅行など。