いまひとつ自分を肯定できないなら “自己受容” から始めよう。6行で書く「できる自分ノート」の効果

日没時に自分の成功体験と向き合い気分爽快になっている男性

いまひとつ自分を肯定できないのなら、自分の成功体験と向き合うことが大切です。ここでいう成功体験とは、他者からの評価だけではなく「自分ができたこと・やったこと・嬉しかったこと・楽しかったこと」など、すべてを含むポジティブ体験のこと。

記憶に埋まっているあなたのポジティブな体験を掘り起こせば、自己肯定感が高まり、生産性も上がるはず。そのために役立つ「できる自分ノート」を紹介しましょう。

「できた」が自己肯定感を高める

行動科学専門家で株式会社ネットマン代表取締役社長の永谷研一氏は、12,000人もの人材育成や行動変容に関わるなかで、ダメなところや失敗など「できないところ」ばかりを見る習慣が意欲を奪い、行動力を低下させると気づいたそうです。

そこで自然と内側から前向きになれるメソッド開発に取り組み【できたことノート】を完成させたのだとか。同メソッドには「自分ができたこと」を見つめて自己肯定感※を高める工程も含まれています(※自己肯定感:自分の価値と可能性を信じること。自尊心の類似概念)

また、精神科医で作家の樺沢紫苑氏は、ストレスを受け流す力(レジリエンス)をつける方法として、今日の楽しかったこと・よかったことを3つ書く【3行ポジティブ日記】をすすめています。この習慣は自分のポジティブ体験に気づけるので、自己肯定感を高める方法としても有効なのだそうです。

ポジティブ体験とは「ほめられた」「感謝された」はもちろんですが、たとえば「念願の人気スイーツを食べた」「すごくかわいい子犬の動画を見つけた」「とりあえず今日のノルマは達成した」といった、嬉しい楽しいにつながる自分ができたことです。

どんなに些細でも「できたこと」の認知は自己肯定感を高めてくれるのですね。

カラフルなノートに「Good job」の文字

自己肯定感が高まると生産性も上がる?

自己肯定感が高まると生産性も向上するそうです。オンラインメディアGrist編集者(元Slateの編集者)の L・V・アンダーソン氏は、自信喪失に陥っていた時期に自分が担当した記事をすべて記録するようにしたところ、ずらりと並んだ「やったことリスト」を見て自信が回復し、生産性が向上したのだとか。「自分ができたこと」を書き出す行為にも共通しています。

また、2010年の論文「自信過剰が競争的環境における生産性に与える影響」(行動経済学)では、自信過剰なほど生産性も上昇すると報告されました。2003年の論文「大学生における自己肯定感と生活習慣との関連に関する研究」(福岡県立大学看護学部紀要)内の自己肯定感尺度の説明では、「自信」が自己肯定感の下位領域のひとつであることが示されています。

自信過剰にならないまでも、自信の回復は自己肯定感の高まりにつながり、生産性の向上にもつながるわけです。

針が「Confidence(自信)」の文字を指している様子

自己 “否定” が強いなら「自己受容」から

ただし、「どうせ自分にはできない」「自分はダメな人間だ」「自分が嫌い」と考えてしまう自己 “否定” 感の強い人は、自己肯定より前に自分をありのままに受け入れる「自己受容」から始める必要があるそうです(樺沢氏)。

自己受容ができていないと、ポジティブな事実にも懐疑的になってしまうのだとか。樺沢氏いわく「自己受容は、自己肯定感を高めていくために必ず通らなければならない関所」とのこと。自己 “否定” 感が強いときは、自己受容から始めることが不可欠なのです。

自分の成功体験を掘り起こす方法

では、これまでの内容をふまえつつ、今回は樺沢氏が自己 “否定” 感の強い人にすすめる【自己受容の4行日記】を参考に、筆者が実際に自分のポジティブ体験を掘り起こしていきます。

同日記は、先に紹介した “今日のポジティブな出来事” を3つ書く【3行ポジティブ日記】の前に、“今日のネガティブな出来事” を1行追加したものです。ただし、ポジティブ・ネガティブいずれにもフィードバックを1行ずつ書き加えるため、実際には6行の形態になります。手順と各例は次のとおり。

  1. ネガティブなことを1行書く(例:「上司に叱られた」)
  2. ⇒フィードバックを1行書く(例:「そんな自分でもいい」)
  3. ポジティブなことを3行書く(例:「念願の人気スイーツを食べた等々」)
  4. ⇒フィードバックを1行書く(例:「今日もうまく収まった。よかった」)

こうして自己 “否定” ⇒自己受容⇒自己肯定の階段をのぼっていくのだそう。樺沢氏いわく「書く=アウトプットで脳の配線がつなぎかわり、変化が起こる」とのこと。

ちなみにネガティブなフィードバックは「自分を認める言葉」で、ポジティブなフィードバックは「1日を要約しながら自分を肯定して締めくくる言葉」です。

さらに今回は “自信過剰なほど生産性も上昇する” といった研究報告を加味し、最後のポジティブなフィードバックは「よくやった、さすが私」などと自分をほめる傾向にアレンジし、「できる自分ノート」にしていこうと思います。

誇り高い姿勢で、自信たっぷりにポーズをとるビジネスパーソン

「できる自分ノート」の実践

1日の終わりに書く日記なので、就寝前の静かな時間に書くようにしました。

「できる自分ノート」の画像

フィードバックでは自分をありのままに受け止めようとしたり、「できる自分」をかたちづくろうと、とりあえず自分をほめたりしましたが、正直なところ頭のどこかで “無理がある” と感じながら書いていました。

しかし同時に、この1行があるからこそ効果を生むと実感できたのです。

「できる自分ノート」のアップ

なぜならば、ネガティブな出来事やポジティブな出来事を書くのはノンフィクション担当の主観的な自分で、フィードバックを書くのは時にフィクションも担当する客観的な自分であったから。

つまり、フィードバックを書くことで、そのすぐ前に書いた内容から思考を切り離せたのです。おかげで自分のポジティブ体験を客観的に眺めて、認識を深め、些細ながらも前向きな思考回路を構築できました(たとえば「今日は笑えたと思えたならそれでいい」など)。

じつのところ「自己肯定感が高まったし生産性も上がりそう」といった実感はまだありません。しかし、樺沢氏が伝えた「脳の配線がつなぎかわり、変化が起こる」感覚を実感できたのはたしかです。

意識が変われば行動も変わるはず。行動を起こせるとしたら、それは自分を肯定したことにほかなりませんよね……?

***
「できる自分ノート」で肯定的なものの見方を鍛えられる期待感は大です。ぜひお試しください。

(参考)
木成勇介・大竹文雄・奥平寛子・水谷徳子(2010),「自信過剰が競争的環境における生産性に与える影響」, 行動経済学, Vol. 3, pp.187-189.
樋口善之・松浦賢長(2003),「大学生における自己肯定感と生活習慣との関連に関する研究」, 福岡県立大学看護学部紀要, Vol. 1, pp.65-70.
ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト|やることリストよりすごいやったことリストの効用
STUDY HACKER|【朗報】自信をなくしていた私が、昨年の「できたことリスト」をつくって新年を迎えてみた結果
東洋経済オンライン|自己肯定感が低すぎてつらい人のための処方箋
できたことノート&手帳|ヴィジョン
Wikipedia|自己肯定感

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