成果が出ないのは “努力のズレ” が原因──正しい方向を見極める3ステップ

ラップトップを前に腑に落ちない表情をするビジネスパーソン

「真面目に頑張っているのに成果が出ない」

そんな悩みを抱えるビジネスパーソンは少なくありません。SNSやネット上でも、同様の声をたびたび目にします。

しかし、その原因を「運が悪い」「評価されない組織が悪い」と片づけてしまうのは早計です。じつのところ、多くの場合において成果が出ない理由は明確です。それは、努力の方向性と、置かれた環境との視点のズレ

裏を返せば、「正しい方向に目線を合わせれば、努力はきちんと結果につながる」ということです。本記事では、そのズレを修正し、成果へとつなげるための3ステップをご紹介します。

1. 視点の誤謬を正す方法:再解釈

日々の業務に没頭していると、目の前の作業ばかりに意識が向き、全体の流れを見失ってしまうことがあります。その状態のまま突き進めば、努力の方向がズレたまま、成果につながらない時間を重ねてしまうかもしれません。

だからこそ必要なのは、自分の努力が、周囲の期待や環境ときちんと噛み合っているかを確かめることです。

ズレに早く気づければ、軌道修正は十分に可能です。

そこで有効なのが、「フィードバックの再解釈」というアプローチです。

過去に受けた評価コメントを、当時の受け止め方にとらわれず、まったく別の視点から見直してみましょう。

「自分の解釈は適切だったのか?」
「相手は何を本当に求めていたのか?」

そんな問い直しを通じて、努力の方向と周囲の期待とのズレに、自ら気づけるようになります。

フィードバックの再解釈:例1

上司:「次回は、もう少し具体的に報告するようにしてください」
当時の解釈:細部まで報告したはずなのに、説明が下手だったのかな?

📌再解釈:そうか、あのとき上司は細かい説明や、上手な説明を求めたのではなく、要点だけを効率的に把握したかったのか……! とすれば、あのあと、さらに細かく説明しようとした私の評価は下がったはず。

フィードバックの再解釈:例2

上司:「頑張ってくれてるのはわかる。でも、少し空回りしてる印象かな」
当時の解釈:努力を否定された。自分という人間も否定された気分。

📌再解釈:いやいや、あのとき努力そのものは評価していたよね。じゃあ指摘されたのは、部全体の優先順位から逸れていたということかな……?

この再解釈が正解なのか、不正解なのかを、こだわる必要はありません。なぜならば、視点の誤謬を正すトレーニングだと考えるからです。

ぜひ、自由に、いろんなパターンで解釈してみてください。

フィードバックの再解釈をしているビジネスパーソン

2. 再解釈のテクニック:逆算フロー

そうは言っても再解釈自体が難しい、という場合は、以下を試してみてはいかがでしょう。

一般的には、最終目標から逆算して必要なタスクを洗い出し、それぞれの期限を設定する手法のことですが――

ここでは結果から逆算して、原因を探る方法として取り入れるので、以下のようにシンプルなチャートになります。

逆算フローチャート:例1

📌 フィードバック:「具体的に報告して」

なぜ? 時間を節約したい

本当のニーズ:要点だけを効率的に把握したい

📌 フィードバック:「具体的に報告して」

なぜ? ほかの人に説明が必要

本当のニーズ:そのまま転用できる情報がほしい

📌 フィードバック:「具体的に報告して」

なぜ? 現状が見えない

本当のニーズ:実際の進捗や課題を把握したい

逆算フローチャート:例2

📌 フィードバック:「空回りしてる」

なぜ? 方向性がズレてる

本当のニーズ:部全体の優先順位に合わせてほしい

📌 フィードバック:「空回りしてる」

なぜ? 効果が見えない

本当のニーズ:成果を可視化してほしい

📌 フィードバック:「空回りしてる」

なぜ? ひとりで抱え込んでる

本当のニーズ:チームと連携してほしい

こうしてみると、「効率化」「転用」「進捗把握」など、いろんな可能性があると気づけるはずです。

上司に資料を見せながら報告するビジネスパーソン

方向を修正してスキルアップ

冒頭で説明したように、真面目に努力しているのに成果が出ない人に必要なステップは以下のとおり。

  1. 視点の誤謬を正す
  2. 努力する方向性を修正する
  3. スキルアップに取り組む

前章で説明した「フィードバックの再解釈」と「逆算フローチャート」を通じて、視点の誤謬に気づくクセがついたら、次のステップに進みましょう。

つまり、「本当のニーズ」をもとに、努力する方向性を修正し、その方向でスキルアップに取り組んでいくのです。

たとえば、「要点だけを効率的に把握したい」というニーズに応じてこなかったと気づいたなら、報告スキルや要約スキルの向上を心がけるようにします。

あるいは、「チームと連携してほしい」というニーズに応えていないと知ったなら、すぐにでもコミュニケーションスキルの強化を優先すべきです。

『非学歴エリート』(飛鳥新社,2014)の著者で、株式会社MCJの代表取締役社長兼最高執行責任者(COO)の安井元康氏はこう指摘します。

自分が目指す方向と、求められる方向性が合致していなければ、どんなに本人は頑張ったつもりでも、評価の対象外になってしまう。

闇雲に努力するのではなく、正しい方向を見定めてからスキルアップに取り組む。これこそが、真面目な努力を確実に成果へと結びつける近道なのです。

***
真面目に努力しているのに成果が出ない──その背景には、視点の誤謬という見落としやすいズレが潜んでいるかもしれません。

本記事では、「フィードバックの再解釈」や「逆算フローチャート」といった具体的な手法を通じて、視点のズレに気づき、正しい方向に努力を向け直す方法を解説しました。

自分の解釈にこだわらず、他者の意図を読み解くクセがつけば、自ずとスキルアップの方向性も見えてきます。求められていることに応える力が、やがて成果につながっていくのです。

努力が報われないと感じたときこそ、視点を見直すタイミング。

まずは一歩引いて、自分の思考を再解釈してみませんか。

(参考)

*1: 東洋経済オンライン|資格取っても「会社に評価されない」嘆く人の盲点

【ライタープロフィール】
こばやしまほ

大学では法学部で憲法・法政策論を専攻。2級FP技能検定に合格するなど、資格勉強の経験も豊富。損害保険会社での勤務を通じ、正確かつ迅速な対応を数多く求められた経験から、思考法やタイムマネジメントなどの効率的な仕事術に大変関心が高く、日々情報収集に努めている。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト