ラグビー日本代表に学ぶ「ONE TEAM」の作り方。チームで結果を出すには3つの工夫が必要だ

ラグビー日本代表「ONE TEAM」の精神を仕事に活かす01

複数のメンバーでひとつのチームを組み、プロジェクトを進めていく――仕事では当たり前の光景ですよね。

しかし、人間の性格や考え方は、各々でまったく異なるもの。いろいろな人が集まった結果、意見や主張が食い違ってチームが機能しないということも珍しくありません。あるいは、メンバーそれぞれの役割分担が不明確なため、お互いに遠慮し合って個々人の能力が充分に発揮されないなんてことも……。

そんな問題を抱えているリーダーの方は、日本中を熱狂させた “あのスポーツチーム” のスローガンを参考にしてみてください。そう、ラグビー日本代表が掲げていた「ONE TEAMです。

「ONE TEAM」の名のもとにひとつになったラグビー日本代表

2019年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にも選ばれた「ONE TEAM」。これは、秋に日本で開催されたラグビーW杯で、日本代表を指揮したジェイミー・ジョセフ氏が考えたスローガンです。

2019年ラグビーW杯時の日本代表は、総数31人のうちのおよそ半数を占める15人が外国人という多国籍チーム。生まれた国も育った文化も異なるさまざまな選手たちをひとつにまとめ上げるために、ジョセフ氏はこのスローガンを掲げました。

「ONE TEAM」のもとに一致団結した選手たちは、次々と勝利を重ね、日本史上初の予選グループ突破に成功。日本代表の活躍が、多くの人に勇気や希望を与えてくれたことは、記憶にも新しいですよね。

そして、私たちが仕事でチームを作り上げていくうえでも、この「ONE TEAM」というスローガンは大いに参考になるのです。

ラグビー日本代表「ONE TEAM」の精神を仕事に活かす02

1. “全員リーダー” の精神がチームに一体感を生む

元ラグビー日本代表の松尾雄治氏は、2019ラグビーW杯時の日本代表には「MVPの選手はいない」と語ります。なぜならば、ラグビーはチーム全員が活躍しなければ勝てないスポーツだから。事実、ジョセフ氏は、チームのリーダー役に10人を指名し、ひとりのリーダーに頼らないチーム作りを心がけていたのだそうです。

これと似た組織運営をしているのが、世界的コンサルティングファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニー。かつてマッキンゼー日本支社で採用マネージャーを務め、『生産性』などの著書でも知られる伊賀泰代氏によれば、マッキンゼーでは社員全員がリーダーシップを発揮することが求められていたのだそう。象徴的なのは、伊賀氏が多数決を提案した際に激怒されたというエピソードで、常に自分なりの意見や考えを見せる必要があったとのこと。

優れた組織、優れたチームは、各々のメンバーがリーダーシップを発揮して、仕事を “自分事” として捉えています。「ほかのメンバーに任せておけばいいや」「リーダーに頼っていればいいや」というマインドでは、チームパフォーマンスが上がっていかないのも当然。したがってチームリーダーは、各メンバーがリーダーシップを発揮できるような土壌を作り上げなければならないのです。

たとえば、イベントを企画実施するチームの場合。渉外が得意なメンバーには広報を任せる、PCスキルが秀でたメンバーにはフライヤー作成を任せるなど、それぞれの個性や得意分野を見極めたうえで役割分担し、権限や責任を委譲するのはいかがでしょうか。

そうすれば、各メンバーには、自分の仕事に責任を持って取り組む意識や「自分はいま、このチームの中でこのチームのために動いているんだ」という感覚が生まれます。これがチームの一体感醸成につながっていくのです。

ラグビー日本代表「ONE TEAM」の精神を仕事に活かす03

2. 「サーバントリーダーシップ」でメンバーの積極性が高まる

ジョセフ氏の前にラグビー日本代表のヘッドコーチを務めていたエディー・ジョーンズ氏は、選手のプライベートにまで口を出すなど、徹底した管理主義による指導を行なっていました。それに対し、ジョセフ氏は選手の主体性を重んじる指導をモットーにしていたのだそう。

「ヘッドコーチの重要な仕事とは、選手が信じることのできる環境を創造することです。選手に自信を与えなくてはならない。それが私の務めです」

(引用元:Number Web|ジェイミーとエディーはここが違う!ラグビー日本代表総監督の素顔。

このような指導スタイルは「サーバントリーダーシップ」と呼ばれます。なんでもかんでも上から強権的に指示するのではなく、「サーバント(=使用人)」という名のとおり、リーダーが部下に対して奉仕の気持ちを持ちながら “部下中心” でチームを運営していくのです。

「日本サーバント・リーダーシップ協会」によれば、サーバントリーダーシップを発揮するリーダーのもとでは、メンバーは「やりたい気持ちで行動する」「言われる前に行動する」「工夫できるところは工夫しようとする」「周囲に役立とうとする姿勢を身につけやすい」とのこと。そして、サーバントリーダーになるためには「傾聴」の気持ちを持つことが最も重要になるのだそう。

『気配りの正解』等の著書がある後田良輔氏の言を参考に、傾聴力をアップさせる方法をいくつかご紹介しましょう。

【相手に対して自分から話題を振る】
相手に積極的に話してもらうには、やはり自分から話しかける必要があります。リーダーだからといって高圧的に構えるのではなく、こちらから歩み寄るのが肝心です。会話が弾んできたら、仕事でどんなことを考えているかなどをうまく引き出せるようになるでしょう。

【相手の言葉をやまびこで返す】
後田氏によれば、相手が「~~について〇〇と考えているんです」と言ったら「〇〇と考えているんだね」と返すなど、相手の言葉の一部を反復する “やまびこ” が最強の相槌になるとのこと。自分の話を聞いてくれているんだという印象を相手は持ちますから、さらにいろいろなことを話してくれるでしょう。

 サーバントリーダーシップを発揮することで、メンバーたちには、仕事を「やらされている」という感覚ではなく「自分が担当している」という感覚が芽生えます。そうすれば、チーム全体が積極的に動くようになるでしょう。

ラグビー日本代表「ONE TEAM」の精神を仕事に活かす04

3. メンバーのモチベーションは「言葉」で高まる

ジョセフ氏は、強豪アイルランド代表戦を控えた日本代表の選手たちの前で、「(自分たちが)どれだけ努力してきたか誰も知らない」「どれだけのことを犠牲にしてきたかも知らない」「やるべきことはわかっている」「お互いを信頼して、みんなを信じて」などと、選手たちのこれまでの努力を評価し鼓舞する言葉を投げかけました。

その言葉を聞いた日本代表の選手たちが、アイルランド代表と互角に渡り合い、見事勝利をつかんだことは言うまでもありません。何度もピンチを迎えたにもかかわらず、日本代表の選手たちの心が折れなかったのは、ジョセフ氏の言葉が支えになったという側面もあるはずです。

さて、数年前から「ペップトーク 」がスポーツ界で注目されていることをご存じでしょうか。これは、本番前に、指導者が選手に対してポジティブな言葉を投げかけるというもの。たとえば、試合を控えた選手に対して「絶対勝て!」などとプレッシャーをかけるのではなく、「練習どおりにやれば大丈夫だよ」と前向きな言葉を投げかけます。あるいは、ミスをした選手を叱るのはなく、「次はうまくいくはずだ」と励ますといった手法です。

日本ペップトーク普及協会専務理事の浦上大輔氏は、多民族国家であるアメリカのチームスポーツが特に強いのは、コーチが選手たちにペップトークを使うことで士気を高めているからだと説きます。ポジティブな言葉は、チーム全体に一体感をもたらす効果があるのです。

チームメンバーがミスをするような場合もあるでしょう。そんなときは、イライラや怒りは封印して「今度はうまくできるさ」とフォローしつつ、「〇〇さんが詳しいから、アドバイスをもらえるはず」などと、改善のためのアクションを詳しく指示してみてください。

リーダーに委縮した状態だと、メンバーはなかなか力を発揮できません。チームを率いるリーダーからかけてもらった前向きで優しい言葉がモチベーションを生み、「リーダーのため、チームのために頑張ろう」という気持ちを起こさせてくれるのではないでしょうか。

***
ラグビー日本代表が大活躍できたのは、優れたヘッドコーチによる工夫が要因です。今回紹介した手法を使って、ぜひ「ONE TEAM」を作っていきましょう。

(参考)
日本経済新聞|流行語年間大賞に「ONE TEAM」 ラグビー快進撃
YAHOO! JAPANニュース|松尾雄治氏、ラグビー「ONE TEAM」が流行語大賞受賞も「MVPはいない」と語るワケ
J-CAST会社ウォッチ|ラグビー日本代表の「強さ」を引き出した「ONE TEAM」 その根底にあった戦略の転換とは?
プレジデント・オンライン|<リーダー思考>入社1年目社員の基本のキ
Number Web|ジェイミーとエディーはここが違う!ラグビー日本代表総監督の素顔。
NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会|サーバントリーダーシップとは
リクナビNEXTジャーナル|コミュニケーションが苦手なのは「傾聴力」が足りないから?VIPに学んだ「傾聴力」4つのスキル
YouTube|【RWC2019】ラグビーワールドカップ エコパの奇跡  日本代表vsアイルランド代表 舞台裏 ジェイミージョセフ5つの言葉
東洋経済オンライン|アメリカがチームスポーツに強い意外な理由

【ライタープロフィール】
亀谷哲弘
大学卒業後、一般企業に就職するも執筆業に携わりたいという夢を捨てきれず、ライター養成所で学ぶ。養成所卒業後にライター活動を開始し、スポーツ、エンタメ、政治に関する書籍を刊行。今後は書籍執筆で学んだスキルをWEBで活用することを目標としている。

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