山積みの書類とタスクリストを前に、ため息をつくあなた。「今日も〆切に追われている。何から手をつければいいんだろう?」デスクに散らばった付箋を眺めながら、頭を抱えていませんか?
仕事のタスクが多すぎて頭がパンクしそう。優先順位がわからず、重要なタスクが後回しになってしまう。シンプルなタスク管理術で、もっと効率よく仕事を進める方法はないだろうか——。
多くのビジネスパーソンが抱えるこんな悩み、筆者も同じでした。そこで今回は「付箋を活用したタスク管理」にフォーカス。アナログだからこそ効果的な、タスクの可視化と優先順位付けの方法を実践検証しました。この意外とシンプルなタスク管理術で、あなたも仕事の効率化を実現しませんか?
タスク管理に役に立つ付箋活用
付箋を活用したタスク管理は、単なるアナログな方法に思えるかもしれません。しかし、付箋は100円均一などでも低価格で購入でき、種類も多く販売されています。ビジネスシーンにおいて今なお便利なツールと言えるでしょう。
付箋を使ったタスク管理には以下のようなメリットがあります。
視覚的にタスクを整理できる
付箋を壁やノートに貼ることで、タスクの全体像がひと目でわかります。プロジェクト進行においても、各工程を付箋で視覚化することで、全体の進捗状況を簡単に把握できます。
簡単に並べ替えや修正ができる
タスクの優先度や進捗に応じて、付箋を移動させるだけで管理が可能です。急な優先順位の変更があっても、付箋を動かすだけで対応できるため、柔軟性が高まります。
柔軟に計画を修正できる
タスクの進捗状況や急な予定変更に応じて、付箋を移動させるだけでスケジュール調整できます。紙のカレンダーやスケジュール表と組み合わせれば、日程変更も視覚的に管理できます。
アナログだからこその手軽さと扱いやすさが、付箋の魅力ではないでしょうか。
付箋のタスク管理で叶う仕事の効率アップ
付箋を使ったタスク管理は、単なる便利さだけでなく、脳科学や認知心理学の観点からも効果的であることが研究で示されています。視覚化することで、タスクの記憶定着率が向上する「デュアル・コーディング理論」をご紹介しましょう。
「デュアル・コーディング理論」(Dual Coding Theory)は、カナダの心理学者アラン・パイヴィオ(Allan Paivio)によって提唱された理論です。この理論によると、人間の脳は情報を「言語形式」と「視覚形式」のふたつのシステムで情報をインプットすると、記憶の定着率が高まるそう。*1
テキストだけのToDoリスト(言語情報のみ)と比較して、色つきの付箋に書いて貼る方法(言語情報+視覚情報)のほうが、タスクが記憶に残りやすくなると言えるでしょう。
デュアル・コーディング理論を活かしたタスク管理のポイント
- 色分けを活用する - 優先度や種類ごとに色を変えて視覚的に区別する
- 目につく場所に貼る - 定期的に目に入ることで繰り返し記憶が強化される
- 付箋の配置を工夫する - 関連するタスク同士を近くに配置し、関係性を視覚化する
- 完了したタスクも視覚化する - 達成感を得ることでモチベーション向上につながる
これらの方法を取り入れることで、シンプルな付箋がパワフルなタスク管理ツールへと変わります。
すぐにできる付箋を使ったタスク管理
【1. 付箋の色分けルールを決める】
たとえば以下のような色の使い分けにより、タスクの種類を明確にします。
- 赤 → 緊急&重要(今すぐ対応すべき)
- 黄 → 重要だが緊急ではない(計画的に進める)
- 青 → 緊急だが重要ではない(誰かに任せるor短時間で片付ける)
- 緑 → 重要でも緊急でもない(余裕があるときに対応)
このように色で分けることで、タスクの優先順位を直感的に判断できます。
【2. 付箋の形・サイズを使い分ける】
タスクの種類に応じて形やサイズを変えるのも効果的です。
- 大きな付箋 → 重要タスク
- 小さな付箋 → 細かい作業
- 矢印型の付箋 → 進捗を示す
形の違いがタスクの性質を明確にし、取り組むべき作業がわかりやすくなります。
【3. タスクボードの作成やノートを用意する】
付箋を 「ToDo(やること)」→「Doing(進行中)」→「Done(完了)」 の3つのエリアに分けて貼ると、タスクの流れが視覚化できます。
実際に試してみた!付箋を活用した1日のタスク管理
筆者は仕事の優先順位をつけるのが苦手で、常にタスクに追われているのが悩みです。そこで、1日の仕事で付箋を活用しタスク管理に挑戦してみました。
【STEP1 すべてのタスクを付箋に書き出し、ノートの4象限に貼る】
まずは、今日の仕事・タスクを4つの優先順位を考えながら色別に付箋に書き出しました。
→ 結果:この時点では、深く考えずに重要タスクを書き出すことに集中しました。書き出すことによって頭の中がスッキリし、モヤモヤが減少したような感覚があります。
【STEP2 優先順位を再考しながらノートに貼る】
次に、色分けルールに従って、付箋をノートに分類しました。貼ってみて順位が違うと思ったら、別の色の付箋に書き直してノートに貼り直す。
→ 結果:「緊急だけど重要でないタスク(青)」を後回しにでき、時間を有効に使えるようになりました。
【STEP3 重要タスクを細分化する】
次に、大きな付箋に書いた重要タスクをノートの別のページに張り直し、小さい付箋に細分化したタスクを書きだして貼る。
【STEP4 進捗に応じて付箋を動かす】
進捗に応じて「ToDo(やること)」→「Doing(進行中)」→「Done(完了)」のエリアに付箋を移動しました。
→ 結果:「終わったタスク」が目に見えるため、達成感を得られ、モチベーションが上がりました。
今回、付箋を使ったタスク管理術を試してみて、次のような効果を実感しました。
- タスクの優先順位が明確になり、無駄な作業が減った
- 「完了」が可視化されることで達成感が増し、やる気が出た
- 次に何をやるか考えるストレスが減り、作業の効率が上がった
付箋を使ったタスク管理を続けるコツ
継続するための3つのポイント
1日の始まりに、タスクを付箋で整理すると、迷いなく作業を進められます。
1日1回、付箋を並べ替えながらタスクの進捗をチェックすると仕事がスムーズに進みます。
自分の使いやすい付箋を活用することで、モチベーションを維持できます。
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付箋はシンプルなツールですが、その活用法次第で生産性を劇的に向上させることができます。「やることが多すぎて困っている」という方は、ぜひ付箋を使ったタスク管理を試してみてくださいね。
*1 ダイヤモンド・オンライン|記憶が強化される勉強法「デュアルコーディング」
橋本麻理香
大学では経営学を専攻。13年間の演劇経験から非言語コミュニケーションの知見があり、仕事での信頼関係の構築に役立てている。思考法や勉強法への関心が高く、最近はシステム思考を取り入れ、多角的な視点で仕事や勉強における課題を根本から解決している。