社会人は1日何分勉強すべき? 学びの達人たちが提案する「48分」「30分」「4分」学習法

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スキルアップや成長のために勉強したい。でも、忙しくてなかなか時間がとれないし、限られた時間のなかで何をどのように勉強すればいいかわからない……。そんなビジネスパーソンは多いのではないでしょうか?

そんなみなさんが効率よく学ぶために着目するべき時間は、48分30分、そして4分です。今回は勉強で成果を挙げている人たちがすすめる、1日の勉強時間の使い方をご紹介します。

忙しいなら「スキマ時間」で勉強を!

勉強するならしっかり時間をとって勉強したい、と思う人もいるかもしれません。ですが、通勤時間中や休憩中などのスキマ時間で勉強するのも、じつはとても効果的なんですよ。

脳科学者の茂木健一郎氏が紹介する勉強法に「タイムプレッシャー」というものがあります。ひとことで言うと、自分の勉強時間にあらかじめ制限を設けること。制限時間を決めて脳に負荷をかけながら勉強すると、やる気や集中力をアップさせる効果があるドーパミンという物質が放出されるそう。それと同時に、脳の処理能力を上げられるというメリットもあるのだとか。

たとえば、読書に使える時間が5分しかないとして、その5分で読み進められる本のページ数が初めは2ページだったとしても、「制限時間5分で本を読む」ことを繰り返していくうち、3ページ、4ページと増やしていけるということ。つまり、同じ5分でも、ほかの人にとっての10分や15分と同じくらいの学習成果を挙げることも可能になります。

スキマ時間を利用して勉強すれば、おのずとこのタイムプレッシャーの効果が期待できるのです。

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では、私たちはスキマ時間で何をどのように勉強すればいいのか。実際に勉強で成果を挙げてきた、学びの達人たちが提案する勉強スタイルを見ていきましょう。

「48分」で新しい分野を学ぶ

まずご紹介するのは、眼科医の猪俣武範氏。医師として働きながらハーバード大学に留学し、さらに並行してボストン大学でMBAを取得した過去をもちます。多忙でも多分野の勉強で成果を挙げてきた猪俣氏がすすめるのは、1日のうち48分を使って、新しい分野を学ぶこと。

48分というのは、勤務時間を8時間としたときの10%にあたる時間です。これのもととなっているのが、Googleが掲げる「20%ルール」。勤務時間の20%(8時間勤務なら96分)を、新規事業の立案や普段とは異なる業務に費やすことを可とする制度です。じつは、GmailやGoogleマップなどはこの取り組みから生まれたのだそう。

Googleのように「勤務時間中の96分」は難しくても、その半分の「48分を1日のうちで確保する」なら、スキマ時間を組み合わせればできるはずだ、と猪俣氏。その48分で、シナジーをもてそうな人が携わっている分野の勉強をすることをすすめています。これは、自分の仕事と組み合わせたときにシナジーを生めそうな分野の勉強をするということでもありますね。たとえば、Web業界で働く人であれば、書籍の電子化がすすむ出版業界について理解を深めてみる、といった具合です。

新しいことを学ぶのには時間がかかりそうなイメージもありますが、ぜひスキマ時間で48分を確保し、勉強にチャレンジしてみてください!

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「30分」の勉強で周囲に6倍の差をつける

「勉強して周囲の人たちに差をつけたい!」と思うなら、30分確保して効率よく勉強しましょう。これを提案するのは、『30分で人生を逆転させる1日30分勉強法』の著者で、税理士、大学・専門学校講師、出版コンサルタントとしても活躍する石川和男氏です。

石川氏が30分の捻出をすすめるのには、理由があります。石川氏の調査によると、30代〜50代の平均勉強時間は、たったの5分。また少し古いデータですが、総務省実施の平成28年社会生活基本調査によると、社会人の平均勉強時間はなんと6分。つまり、1日30分勉強するだけで、平均の5〜6倍ということになります。継続すればするだけ周囲にどんどん差をつけることができるのです。なお、トイレ待ちで3分、通勤電車で15分というような、スキマ時間の積み重ねで30分を確保するのでもいいそう。

30分での勉強の仕方として石川氏がすすめるのは、ふたつ以上の動作を組み合わせて記憶を定着させるという方法。たとえば、ノートの見直しや本の読み直しのときに、「目で見て覚える」だけでなく「口に出す」「書き込む」といった別の動作も加えると、記憶力が高まると言います。

たとえば仕事の休憩中や移動中であれば、「線を引いたり書き込んだりしながら本を読む」というのが、最も実践しやすいのではないでしょうか。ほかにも、「口に出しながらノートをまとめる」「テキストを読んで録音したものを耳で聞きながら部屋を歩く」など、やり方は自由自在。

30分という短い時間を効率よく使って、学んだ内容を濃く記憶に残し、周囲に差をつけましょう!

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「4分」あったらどこでもかまわず本を開く

読書で知識をインプットするには、やっぱりまとまった時間がないと……と思いがちですよね。ところが、4分あれば場所を問わずに本を開いて勉強すると語るのは、東大首席卒・元財務官僚・NY州弁護士の山口真由氏。数々の難関試験を突破してきた背景には、スキマ時間の徹底的な活用があったのです。

山口氏は常に本を持ち歩き、たとえば誰かが待ち合わせに遅れたとき、行列に並んでいるとき、友人がトイレに立ったときなど、すぐ本を開くそうです。「スキマ時間の積み重ねが馬鹿にならないことを、経験的に知っている」と山口氏。たしかに4分でいいと考えれば、本を開く時間がたくさん見つけられて、結果的に長い時間を読書に割くことができますよね。

少しでも長く読書することのメリットを、データの面からも説明しましょう。アメリカのWebメディア「Business Management Degree」の調査によると、1日に30分以上読書をするビジネスパーソンの割合は、年収16万ドル以上(約1,650万円以上)の層で88%もいたのに対し、年収3万ドル以下(約310万円未満)の層ではたったの2%。また、楽天ブックスが1,000人のビジネスパーソンを対象に実施した調査によると、1日の読書時間が30分未満の割合は約66%でした。つまり、成功者には1日30分以上の読書習慣があり、私たちがそれを身につければ、周囲の7割近くの人に差をつけられると言えます。

1日のなかで4分のスキマ時間を7~8回積み重ねれば、30分の確保は可能です。探してみれば、4分ぐらいの暇はいくらでもあるはずですよ。4分あったら本を読む。これをぜひ習慣にしたいですね。

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「忙しい」ということは、裏を返せば「どの時間を勉強につぎ込むか、おのずと決まってくる」ということでもあります。多忙な毎日だからこそ学習効率を上げ、最高の学びを手に入れていきましょう!

(参考)
茂木健一郎(2010),『脳を活かす勉強法』, PHP研究所.
STUDY HACKER|社会人は「1日48分」を “◯◯” の勉強にあてよ。超多忙でも時間を確保する工夫とは
リクナビNEXTジャーナル|時間をムダにしない人は「30分の使い方」が違う
石川和男(2012),『30代で人生を逆転させる1日30分勉強法』, CCCメディアハウス.
e-Stat 政府統計の総合窓口|社会生活基本調査 / 平成28年社会生活基本調査 / 調査票Aに基づく結果 生活時間に関する結果 主要統計表
STUDY HACKER|東大首席・山口真由さんが「4分」あればどこでも本を読む深い理由。
BUSINESS MANAGEMENT DEGREE|HABITS OF THE WORLD’S WEALTHIEST PEOPLE
PR TIMES|楽天ブックス、「ビジネスパーソンの読書の実態調査」を発表

【ライタープロフィール】
月島修平
大学では芸術分野での表現研究を専攻。演劇・映画・身体表現関連の読書経験が豊富。幅広い分野における数多くのリサーチ・執筆実績をもち、なかでも勉強・仕事に役立つノート術や、紙1枚を利用した記録術、アイデア発想法などを自ら実践して報告する記事を得意としている。

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