「ムカッ」とした瞬間に効く3つのリセット言葉

怒り気味にノートパソコンを見るビジネスパーソン

仕事中に「ムカッ」としたとき、あなたはどう対処していますか?

イライラを態度に出してしまうと、周囲からの信頼を損なう可能性があります。かといって、感情を押し殺すのもストレスがたまるもの。そこで有効なのが「リセット言葉」です。

リセット言葉とは、怒りを覚えたときに思考と感情を切り替えるスイッチとなるフレーズのこと。EQ(感情知能)が高い人ほど、こうした言葉を使いこなしているそうです。本記事では、専門家が推奨する3つのリセット言葉と、筆者が実際に試した結果をご紹介します。

「ムカッ」を切り替える3つのリセット言葉

リセット言葉は、冷静さを取り戻し、自分を落ち着かせるきっかけづくりとして有効です。これからご紹介するセリフを取り入れれば、感情的にならずに毅然とした態度で相手と接することができるでしょう。

シーン 使うリセット言葉
理不尽な要求を受けたとき 整理するのに少し時間をください
クレーム・強い言葉を向けられたとき えっ、「〇〇」とおっしゃいましたか?
反論・ダメ出しを受けたとき 背景を教えていただけますか?

WORDS HAVE POWERと表現した画像

「整理するのに少し時間をください」

クライアントから、突然「今日中に仕様変更をしてもらえます?」と連絡が来た――。

「今日中」という無茶振りに加えて、遠慮のない物言いについイラっとしてしまいそうですが、そんなときは「整理するのに少し時間をください」と返して感情をリセットしましょう。

ハーバード大学出身の神経科学者、ジュリエット・ハン氏は、このフレーズが「会話が非生産的になったり白熱したりする前に、自己認識と感情を健全にコントロールしようとする」効果があると述べています。*1

また「整理するのに少し時間をください」と言うことによって、「少し考えた後に会話を再度検討できるため、より落ち着いて思慮深い応答で会話に戻る」点もメリットです。*1

ハン氏によると、EQ(感情知能)が高い人ほどこうしたリセット言葉を使っているそうです。「EQが高いということは、感情を抑え込んだり偽ったりすること」ではなく、「感情を理解し、その考えや感情をより効果的に伝えること」だと言います。

コミュニケーションをとるビジネスパーソンたち

「えっ、いま『〇〇』とおっしゃいましたか?」

クレームで「対応が遅すぎる」と言われた――。

理不尽な言葉はついムカッとしてしまいますが、ここで「対応が遅いというご指摘ですね」と、相手の言葉を繰り返してみましょう。言われたことをオウム返しすることで、自分も相手も冷静さを取り戻せます。

弁護士の石井琢磨氏によると、理不尽な発言に対し「えっ、今『〇〇』とおっしゃいましたか?」のように繰り返す手法は、相手に落ち着いてもらうためにも有効だと言います。なぜなら、「自分の怒りが形に残るのは誰でも嫌」だから。*2

このとき、メモをとるのも有効だと言う石井氏。挑発するのではなく「大事なことなのでメモを」というスタンスがポイントです。*2

先の例の場合は、「対応が遅いというご指摘ですね。今後のために、メモをとってもよろしいでしょうか?」のように付け足すといいでしょう。言葉を繰り返すことで感情をリセットできますし、相手も心理的なクールダウンができます。

会話するビジネスパーソンたち

「背景を教えていただけますか?」

会議中、同僚から「そのやり方はやめたほうがいい」とダメ出しをされた――。

一方的で上から目線な言い方に、ついムカッとしてしまう場面で有効なのが「背景を教えていただけますか?」というセリフです。

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事の戸田久実氏は、このフレーズは相手からの反論を受けたときに特に効果があると言います。なぜなら「相手がなぜ反論してきたのか、その背景を知ることで、相手の考えを理解でき、わかり合える」からです。*3

  1. 言葉を受けとめたあと、「そう感じた背景を教えていただけますか」と伝える
  2. なぜ反対なのかを冷静に尋ねる

たとえば「そのやり方はやめたほうがいい」と言われた場合、まずは「この方法には反対なのですね」と相手の主張を受け止めます。そのあとに「そう感じた背景を教えていただけますか?」と聞くのです。

こちらが冷静でいることで場がヒートアップしてしまうのを防ぎ、建設的な話し合いができるはずです。

話し合うビジネスチーム

実際にリセット言葉を試してみた

今回ご紹介したリセット言葉を、筆者も実際に取り入れてみました。慣れるまでは即興で使うのが難しそうなので、それぞれのリセット言葉を使うシーンをざっくり決めることに。

  • 「理不尽だ」と思ったとき →「えっ、いま『〇〇』とおっしゃいましたか?」
  • 反論や指摘をされたとき →「背景を教えていただけますか?」
  • 上記以外でムカッとしたとき →「整理するのに少し時間をください」

たとえば、上司から原稿について「もっといい言い回しはないの?」と指摘があったとき。理由もなく変更を命じられたことにムカッとしましたが「言い回しを変えたほうがいいのですね。なぜそう考えられたのか教えていただけますか?」と、少しアレンジを加えながらフレーズを使ってみました。その結果、上司の意図がわかり、修正後の原稿は好評でした。

また、取材の際にあれもこれも撮ってほしいという顧客には「整理するのに少し時間をください」と伝え、その後こちらの事情も踏まえて撮影できる量に限りがあることをお話ししたところ、相手も納得してくれました。

リセット言葉をもっておくと、失言や関係悪化のリスクを減らせることが実感できました。さらに自分自身も怒りに振り回されず、気持ちよく仕事ができた点もよかったと思います。感情のコントロールは、マナーではなくキャリアの資産となるものです。

笑顔を見せるビジネスパーソン

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仕事中にムカッとしたとき、デキる人は冷静さを「装う」のではなく「再現」しています。ぜひリセット言葉を覚え、感情が揺れたときにはいつでも言えるようにしてください。今回ご紹介したフレーズが、長期的な信頼を築いてくれるはずです。

FAQ(よくある質問)

Q1. リセット言葉は、相手に失礼だと思われませんか?

いいえ。紹介しているリセット言葉はいずれも、相手の話を遮ったり否定したりするものではありません。むしろ相手の意見を受け止めたうえで冷静に対応するための表現なので、失礼になるどころか誠実な印象を与えやすい言葉です。

Q2. とっさの場面で、うまく言葉が出てこないのですがどうすればいいですか?

最初から完璧に使う必要はありません。記事内でも紹介しているように、あらかじめ「この場面ではこの言葉」と決めておくことで、少しずつ自然に使えるようになります。慣れるまでは多少アレンジしても問題ありません。

Q3. 感情を抑えるとストレスがたまりませんか?

リセット言葉は感情を押し殺すためのものではありません。いったん感情を落ち着かせ、建設的に伝えるための時間をつくる言葉です。結果的に衝突や後悔が減り、ストレスを引きずりにくくなります。

Q4. 上司や目上の人に使っても問題ありませんか?

はい、問題ありません。特に「整理するのに少し時間をください」や「背景を教えていただけますか?」は、丁寧で敬意を含んだ表現のため、上司や取引先にも使いやすいフレーズです。

Q5. 怒りが強すぎて言葉を選ぶ余裕がない場合はどうすればいいですか?

その場合は、まず一呼吸置くことを優先しましょう。無理に会話を続けず、「少し確認します」「後ほど改めてお話しします」と時間をとるだけでも十分なリセットになります。

※引用の太字は編集部が施した

【ライタープロフィール】
藤真唯

大学では日本古典文学を専攻。現在も古典文学や近代文学を読み勉強中。効率のよい学び方にも関心が高く、日々情報収集に努めている。ライターとしては、仕事術・コミュニケーション術に関する執筆経験が豊富。丁寧なリサーチに基づいて分かりやすく伝えることを得意とする。

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