孤独はそんなに悪くない。どんなに忙しくても「ひとりになる時間」をつくったほうがいいワケ。

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職場で人に合わせることにストレスを感じる。自分の考えや理想を理解してくれる同僚や部下がいない。自分はどうしてこんなにも孤独なのだろうか……。そんな悩みを抱えている方にこそ、じつは、一流と呼ばれるビジネスパーソンたちと同じ資質があるかもしれません。

「ひとりは嫌だ」「ひとりになるのを避けたい」などと思う必要はありません。ひとりになる時間をつくり、孤独と付き合うことには、大きなメリットがあるのですから。

ぜひこの記事を読んで、ひとりでいる時間の大切さを知り、悩みを自信に変えてみてくださいね。

「ひとりを避け続ける」ことの危険

 「ひとり」という言葉を聞いたとき、どんなイメージを持ちますか? 「ひとりは寂しい」「ひとりは嫌だ」「ひとりになるのを避けたい」。こうした負のイメージは、私たちをひとりでいることから遠ざけます。確かに、誰かとつながり、共に何かをすることには、とても安心感がありますよね。

ですが、ビジネスパーソンがひとりでいることを避けてばかりいると、じつは仕事に弊害を及ぼすような良くないことが起きてしまう可能性があります。それは次の2つです。

1. 問題発見ができなくなる

人と一緒にいすぎると、業務上見過ごしてはいけない問題点を発見できなくなってしまう可能性があります。それは、集団の一員でいることによって「認知バイアス」が働くからです。

「認知バイアス」とは、無意識に事実をゆがめ、「問題がある」にもかかわらず「問題が無い」ように思い込んでしまう心のメカニズムのこと。健康社会学者の河合薫氏によれば、近年立て続けに起こる企業の不祥事の多くも、この認知バイアスによって起きていると考えられるそう。信頼している上司や実力のある人間の発言を正しいと思い込んでしまうことによって、本来なら問題であるはずのことを発見できず、不祥事にまで発展してしまうというわけです。

集団の安心感に身を任せているうちに問題を見過ごしてしまい、気付いたときには取り返しのつかない事態になっていた……なんてことにもなりかねません。集団とは恐ろしいものですね。

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2. 問題解決能力が身につかない

いつでも人と一緒にいると、無意識に「群れのルール」に従う習慣がつき、問題解決能力が育たない。そう警鐘を鳴らすのは、企業の新事業支援などを行なう株式会社steekstok代表取締役社長CEOの酒井穣氏です。

「群れのルール」とは本来動物行動学の言葉。動物には「周囲の個体との衝突を避ける」「周囲が向かう方向の平均(中心)へと向かう」「周囲と同じ速さを保つ」という行動のルールがあります。酒井氏は、このルールは以下のようにビジネスシーンにおいても当てはまると考えているのだそう。

「衝突を避ける」→意見のぶつかり合いを避ける
「周囲の向かう方向の平均(中心)へと向かう」→より常識的なほうへ思考が向かう
「周囲と同じ速さを保つ」→周りの人に同調する

一緒に仕事をするチームの人間とのぶつかり合いを避けて、意見に同調し、常識という視点でしか発想ができない。日々このように仕事をしていたら、自分で問題を解決する能力が育たないのは当然のことだと言えます。いつまでたっても「言われたことしかできない」まま、ビジネスパーソンとしての成長は足踏み状態になってしまうのです。

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「ひとりの時間をつくる」ことで得られるもの

一方、ひとりになる時間をつくることで得られるメリットとして、次の2つが挙げられます。

1. クリエイティブ思考

脳科学的に、ひとりでいるときのほうが、クリエイティブな思考が働くことがわかっています。

ハーバード大学の心理学・神経科学の研究者らによると、創造性の高い人たちの脳では「デフォルト・モード・ネットワーク」が活動的になっているのだそう。このネットワークが活動的になると、脳の別の領域同士が同期、協調して活動し、クリエイティブなひらめきが生まれやすくなります。

じつは、このデフォルト・モード・ネットワークは、リラックスしている状態のときに活動する脳のネットワーク。たとえば、ひとりで何もせずにぼーっとしていたり、空想にふけっていたりするときに、より活動的になります。つまり、ひとりでいるとデフォルト・モード・ネットワークが活発化し、脳がクリエイティブになるというわけなのです。

実際、アップル共同設立者のスティーブ・ウォズニアック氏や、『ハリー・ポッター』シリーズの作者J・Kローリング氏、スパイダーマンをはじめとする数々のアメリカンヒーローを生み出してきた漫画原作者のスタン・リー氏も、ひとりで過ごす時間をたくさん持っていたそうですよ。

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2. 内省の習慣

企業向けのボイストレーニング研修などを展開する株式会社エデュビジョン代表取締役の午堂登紀雄氏は、ひとりの時間をつくることで内省の習慣を手に入れられると述べています。

午堂氏によれば、内省とは、自分が普段何を大切に生きているか、そして過去やその日に自分がどんな言動をしたかを考えること自分の価値観や考えを振り返り、それに基づく行動を見直すことです。内省はひとりの時間でしかしっかりとできないものであり、これができる人こそが仕事の質を向上させられるのだ、と午堂氏は言います。

また、私たちは普段、世の中や会社で常識と言われることや、テレビやSNSの情報など、他人の意見によって作られた情報をたくさん取り入れていますよね。内省は、こうした他人の意見から解放され、自分なりに考える機会にもなります。

たとえば、営業成績が伸び悩んでいて、先輩や同僚からアドバイスをもらったとします。ここで内省ができない人は、もらった意見をただ鵜呑みにして、自分なりに解釈することをしません。

一方で、内省できる人は、そこに自分なりの考えをプラスします。「プレゼン資料のクオリティを指摘されたけれど、実際は話術が悪くて資料のクオリティが低く見えたのかもしれない。次はこう変えてみよう」といった具合に、次の挑戦につなげることができるわけです。

成長をめざすビジネスパーソンにとって、内省の大切さは言うまでもないことでしょう。

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ひとりの時間には何をするべきなのか?

優れたビジネスパーソンになりたいなら、ひとりを避け続けるよりも、あえてひとりになる時間をつくるほうがよい、ということがおわかりいただけたでしょう。ここからは、ひとりでいる時間で得られるメリットをさらに高めるための、具体的な過ごし方を紹介していきます。

1. クリエイティブ思考を磨く過ごし方:散歩

ひとりでいることで高まるクリエイティブ思考をさらに促すために、スティーブ・ジョブズ氏も日課にしていた、散歩をしてみてはいかがでしょう。

スタンフォード大学教育学研究科のDaniel Schwartz教授らが行なった実験により、散歩にはクリエイティブな思考を刺激する効果があることが分かりました。 

実験では、176名の大学生と成人を対象に、「屋内のランニングマシン上を歩く」「屋内でイスに座る」「屋外で歩く」「屋外で車いすに乗り、押してもらって移動する」という4つの状態で、クリエイティブな能力に差が生じるかを調査したそうです。結果、屋内、または屋外で歩いているときは、屋内で座っているときよりも約60%クリエイティブな能力が向上していることが分かりました。

この実験では、8分程度の散歩でも効果が得られたとのこと。より独創的な企画を出したいとき、プレゼンのテーマが決まらないときなど、休憩中にちょっとひとりで歩いてみたり、帰り道に少し遠回りして歩いたりしてはいかがでしょうか。よりクリエイティブなアイデアに出会えるかもしれませんよ。

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2. 内省の習慣を手に入れる過ごし方:日記を書く

マギル大学教授で組織行動学が専門のナンシー・J・アドラー氏は、内省の習慣を手に入れ仕事の質を高めていく方法として、日記を書くことをすすめています。アドラー氏が考える効果的な日記の書き方のひとつに、

「内省を誘発する問いを自分に投げかけ、反応を書く」

という方法が挙げられます。その問いとは、例えば以下のようなものです。

  • 今の自分はどんな気分か?
  • 自分のリーダーシップについてどう思うか?
  • この24時間に知った、最も奇抜な(または楽しい/新しい)アイデアは何か? そのアイデアのどこが気に入っているのか?
  • 今週に知った、他業界/他国における一番ワクワクさせられた活動は何か?
  • 自分の(あるいは部下の)幸せに最も貢献したことは何か?

たとえば、「自分が気に入ったアイデア」や「ワクワクさせられた活動」を分析してみると、自分の価値観を具体的にすることができます。「独創的で聞いたこともなかったようなアイデアに惹かれる」「確実に当たりそうな企画に惹かれる」など、自分の傾向を把握できるでしょう。もし、そうして発見した自分の傾向に偏りがあると感じられたら、仕事をする際にも自分の目線にフィルターがかかりすぎていることはないか注意するとよいでしょう。

また、「自分の企画が通らなかった」「作成した資料に上司が指摘してくる点が腑に落ちない」といったことがあって、なんだか嫌な気分になっていたら、それも書いてみましょう。日記に書いて可視化することで、埋めるべき自分の企画の穴や、上司と自分の価値観の違いも見えてくるはずです。自分に「今の気分」を問いかけることが、次にすべきことの発見につながれば、仕事の質をどんどん上げていくことができますよ。

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***
一流と呼ばれるビジネスパーソンやクリエイターに「ひとり上手」が多いのは、彼らがひとりの時間で得られるものの価値をよくわかっているからかもしれません。

友人や仲間としかできないことは多々あり、それはとても大切なものです。しかし同様に、ひとりでいるときにしかできないことにも大きな価値があります。

そのことを胸に、ぜひあなたのワークライフにも「ひとりになる時間」を取り入れてみてください。

なお、こちらの記事『「孤独を愛する人」が強い8つの理由。“ひとり好き” は無理に友だちを作らなくていい。』でも、孤独の多くのメリットをご紹介しています。ぜひ合わせてお読みいただければと思います。

(参考)
ITmediaビジネスオンライン|あの大企業も大炎上 「しかるべき手続き」の落とし穴
リクルートマネジメントソリュ―ジョンズ|「群れのルール」から外れることが、課題解決能力を磨く第一歩です
スコット・バリー・カウフマン著, キャロリン・グレゴワール著, 野中香方子訳(2018),『FUTURE INTELLIGENCE ~これからの時代に求められる「クリエイティブ思考」が身につく10の習慣~』, 大和書房.
WIRED|「クリエイティヴ」な人々は、脳のネットワークも“独創的”だった:研究結果
Business Journal|常に他人の目を気にして「窮屈な人生」を送るキミへ…「孤独を楽しむ力」で解放!
Stanford News|Stanford study finds walking improves creativity
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|日記を使って「内省」する習慣が、
あなたを優れたリーダーに変える

【ライタープロフィール】
月島修平
早稲田大学文化構想学部卒。大学時代は映画や演劇をはじめとした表現の研究を行った。好きなものは路地裏、螺旋階段、筋肉少女帯、BiSH、丸尾末広、鴨居玲、フェリーニ。

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