絶対に淘汰されない「真にデキる人」必須3条件。これからは “ただの中間管理職” はいなくなる

石川和男さん「絶対に淘汰されない、真にデキる人になる方法」01

「一度就職すれば一生安泰」という終身雇用制も過去のものとなり、「AIによっていまある仕事の多くがなくなる」とも言われる厳しい時代を、私たちビジネスパーソンは生き抜いていかなければなりません。そんな時代に淘汰されない「真にデキる人」になるには何が求められるのでしょうか。

お話を聞いたのは、建設会社の総務経理担当部長を務めながら数多くのビジネス書を執筆し、税理士、大学講師、専門学校講師などさまざまな顔をもつ石川和男(いしかわ・かずお)さんクリエイティブ能力」「リーダーシップ能力」「専門的能力の3つが、これからを生き残るための鍵を握ると石川さんは説きます。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

AIにとって代わられる3種類の仕事

AIによっていまある仕事の多くがなくなるという話は、みなさんも一度は見聞きしたことがあると思います。このことには、私も完全に賛同します。AIによって奪われる仕事は、いわばAIが得意な仕事です。具体的には、データベースのように膨大な知識量が求められる仕事、そういった多くのデータから最適な解を導き出す検索能力を活かす仕事、それから長時間に渡って稼働するような仕事になるでしょうか。

かつては、ほかのスキルは劣っていたとしても知識量が豊富だというだけで、一定程度の評価を受けるような人もいました。何かわからないことがあったときに、「あの人に聞けばなんとかなる」というわけです。でも、いまはネット検索をすればあっという間にお目あての情報を得られます

さらに、そうして得られた複数の情報をなんらかの基準をもって精査し、最適な解を導くようなこともAIは得意としています。ただの直感で「なんとなくこっちがいいかな……」といったスタンスで仕事をしていては、それこそAIにとって代わられてしまいます

それから、特に若い人のなかには体力を誇っている人もいるかもしれませんが、AIの場合には体力があるどころかいっさいの疲労を感じません。電源を切られない限り、延々と働き続けることができます。もちろん、実際に人が体力を使ってやらなければならない仕事もありますが、そういった仕事はこれまでと比べてどんどん減っていきます。

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身につけるべきことは、AIが苦手にしている3つのこと

そんな時代を生き残っていくにはどうすればいいでしょうか? 答えは明白です。AIが得意な仕事がなくなるのであれば、AIが苦手なことを身につければいいのです。その身につけるべきこととは、クリエイティブ能力」「リーダーシップ能力」「専門的能力の3つだと私は考えています。

AIは複数のアイデアを比較検討するようなことは得意だったとしても、アイデア自体を生み出すことはできません。ですから、アイデアや仕事を生み出すための創造性、クリエイティブ能力が重要となってきます。

また、たとえばAIを駆使した無人タクシーという事業をするにも、その事業アイデアを生み出す人のほかに、運用システムをつくるプログラマーなどクリエイターたちを率いてまとめるリーダーや、運用システムや無人タクシーを管理する人は必要となります。AIが台頭したあとも、管理能力、リーダーシップ能力は求められるわけです。

それから、いまの例のプログラマーもそうですが、何かひとつ秀でたものをもっている人も生き残っていくでしょう。これまでの年功序列・終身雇用制の時代には、これといったスキルなどなくともとにかく会社にしがみついていればなんとか生活することができました。ところが、よほどの大企業は別にしても、社会保険料も年々上がっていくなかで多くの人を雇いながら大きな「船」のまま進んでいける企業はどんどん減っていくでしょう。

そうなると、そのときどきのプロジェクトに合わせた人材を確保するスタイルが主流になるはずです。いまもすでにその時流は進んでいますが、たとえば会社で動画を配信するとなったら、出演者、シナリオライター、カメラマン、ディレクター、エディター……といった専門的能力をもつスペシャリストと、その瞬間だけ契約するといったイメージです。こういった流れが今後はさらに進んでいくと私は見ています。

このことを言い換えると、「ただの中間管理職」が減っていくということです。これまでの年功序列・終身雇用制の時代には、長く勤務したことに対するいわばご褒美として、部下はいないけれども名目上の管理職のポストを用意されるといったこともありました。それはそれでいい時代だったのでしょう。でも、国際社会における競争力や体力がどんどん弱まっているいまの日本企業の多くには、そういった社員を雇い続ける余裕はありません。

そうして解雇された「ただの中間管理職」だった人が再就職先を探そうとして、面談の場で「あなたには何ができますか?」と聞かれたとします。そのとき、「課長ができます」「部長ができます」と答えてもなんのアピールにもなりませんよね? だからこそ、クリエイティブ能力、リーダーシップ能力、専門的能力を磨いて、AI時代に求められる人材になっていかなければならないのです。

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クリエイティブ能力を飛躍的に高める「オズボーンのチェックリスト」

スペースの都合上、すべてに触れることはできませんが、私からクリエイティブ能力を磨く方法を少しだけご紹介しましょう。それは、ブレインストーミングの名づけ親としても知られるアメリカの実業家、アレックス・F・オズボーンが考案したオズボーンのチェックリストと呼ばれる発想法です。なんらかの課題に対して以下のリストの質問を投げかけることで発想を促し、アイデアを出しやすくすると同時にクリエイティブ能力を高めてくれるのです。

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実際にこのリストを活用してアイデアを生んだかどうかは別として、世のなかにあるヒット商品の多くにこの発想を当てはめることができます。身近なところで、消しゴムつき鉛筆の場合なら9番の「結合」を活かした商品です。カレーパンだってカレーとパンを結合させていますよね。

クリエイティブ能力を磨くと言っても、完全なゼロの状態からただただ考えて何かを生み出すのは本当に難しいことです。このチェックリストのような発想のベースとなるメソッドを知り、日々トレーニングしていくことで比較的容易にクリエイティブ能力を高めていくことができると思います。

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【石川和男さん ほかのインタビュー記事はこちら】
通勤時間で「読書PDCA」を回せ。
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【プロフィール】
石川和男(いしかわ・かずお)
1968年3月12日生まれ、北海道出身。建設会社の総務経理担当部長を務めながら、税理士、大学講師、専門学校講師、ビジネス書作家、時間管理コンサルタントなど多くの顔を持つ。独学、通信、通学などさまざまな学習方法で資格試験勉強をした経験、資格試験講師を務めた経験から独自の勉強法を確立し、そのノウハウをまとめた『30代で人生を逆転させる1日30分勉強法』(CCCメディアハウス)がベストセラーとなる。他に、『今日、会社がなくなっても食えるビジネスパーソンになる!』(明日香出版社)、『一流の人は知っている テレワーク時代の新ビジネスマナー』(WAVE出版)、『仕事が速い人は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)、『Outlook最強の仕事術 仕事が速い人は「5秒」で決める!』(SBクリエイティブ)、『部長の心得』(総合法令出版)など著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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