
土日が休日の企業に勤めている場合、土曜日も日曜日も同じ「休日」だととらえている人がほとんどでしょう。しかし、いま話題の本『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)の著者である越川慎司さんによれば、「世界の一流」と言われる人たちは、「土曜日と日曜日を戦略的に使い分けている」のだそう。その使い分けにはどのような意図や効果があるのでしょうか。成果につながる理由を解説してもらいました。
構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人
【プロフィール】
越川慎司(こしかわ・しんじ)
1971年9月21日、山梨県生まれ。株式会社クロスリバー代表取締役。国内外の通信会社に勤務したのち、2005年にマイクロソフト米国本社に入社。業務執行役員としてPowerPointやExcel、Microsoft Teamsなどの事業責任者を歴任する。2017年に株式会社クロスリバーを設立。世界各地に分散したメンバーが週休3日・リモートワーク・複業(専業禁止)をしながら800社以上の働き方改革を支援。京都大学など教育機関で講師を務めるほか、企業や団体のアドバイザーを務める。オンライン講演・講座は年間300件以上、受講者満足度は平均96%。PIVOTやNewsPicksなどメディア出演多数。Voicy「トップ5%社員の習慣ラジオ」が好評放送中。『AI分析でわかったトップ5%社員の読書術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『仕事は初速が9割』(クロスメディア・パブリッシング)など、著書累計31冊。
土曜日にチャレンジして、日曜日にリフレッシュする
私が言う「世界の一流」とは、「国籍を問わず突出した成果を出し続けている人」のことを指します。新刊『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)の執筆にあたっては、そんな彼ら彼女らの休日に対する意識やその過ごし方について調査をしました(『世界のトップ5%が実践する「脳の休ませ方」。最小限の工夫で仕事の質が変わる』参照)。
すると、世界の一流は「土曜日と日曜日を戦略的に使い分けている」ことがわかったのです。具体的には、土曜日は「チャレンジデー」と位置づけて、家族との時間を楽しむだけでなく、趣味を通じて新たな人間関係を構築したり、興味のあるワークショップやセミナーに参加したりするなど、未体験のことに積極的に臨んでいます。
一方の日曜日は「リフレッシュデー」と考え、軽い運動や読書、ヨガや瞑想などを通じて、体とメンタル、脳のリフレッシュを図っています。こうして、土日の2日間を通じて教養と休養を得ているのです。

仕事から離れた場で、仕事につながる知見を得る
土曜日のチャレンジデーのメリットは、新たな刺激を得られることにあります。かつての私はじつはまったくの無趣味でしたが、ひょんなことからバイクのハーレーでツーリングに行くこととトライアスロンが趣味になりました。
私のハーレー仲間にはたとえばお医者さんがいたり、トライアスロン仲間にはお坊さんがいたりします。普段の仕事や私生活ではそう出会うことのない人たちとの交流を通じて、人脈が広がるだけでなく、新たな気づきも得られます。それらが、あるとき突然仕事と結びつくこともあります。つまり、イノベーションにつながるのです。
イノベーションは、日本語では一般的に「技術革新」と訳されますが、これは誤訳だと考えます。その概念を提唱したのはオーストリア出身の経済学者であるヨーゼフ・シュンペーターですが、彼は「ニューコンビネーション(新結合)」という意味でイノベーションを定義しています。商店街とインターネットを組み合わせることでAmazonが生まれたように、「既存の知見どうしを組み合わせることで化学反応が起きる」ということです。
既存の知見を数多くもっておけばそれだけ多くの組み合わせが可能になり、イノベーションが起きる可能性が高まります。でも、会社の同僚など限られた人間関係のなかに閉じこもっていては、新たな知見を得る機会はそう多くありません。だからこそ、趣味などを通じて新たな知見を得る機会を増やすのが大切なのです。

自宅近くの喫茶店に行くだけでもいい
一方、日曜日のリフレッシュデーの目的のひとつは、右脳を刺激することです。右脳を刺激するのは、普段の頭脳労働で酷使している左脳を休め、アートを楽しむことなどによってひらめきや発想力を司る右脳を活性化するためです(『自己効力感が仕事を変える。世界のエリートが休日に「意外とよかった」を探すワケ』参照)。
また、シンプルに肉体を休めることもリフレッシュデーの目的となります。私のツーリングやトライアスロンもそうですが、世界の一流の多くがもつ趣味は、主にアウトドアで行なうアクティブなものです。土曜日にそれらを目いっぱいに楽しめば、どうしても翌日まで疲れが残ります。そのため、日曜日をリフレッシュデーとして、翌月曜日に疲れを残さないようにするのです。
もちろん、これについては、世界の一流にあたる人たちの休日の過ごし方を分析した結果、統計データとしてこのような使い分けが多かったということに過ぎません。ですから、金曜日までのあいだに疲れきってしまっていて土曜日にアクティブに動けそうもないという人は、土曜日をリフレッシュデーにあて、日曜日をチャレンジデーにしてもいいでしょう。そこは臨機応変に考えてほしいと思います。
リフレッシュデーの過ごし方としては、「自宅の近くの喫茶店に行く」こともおすすめです。日本で言えば、昔ながらの昭和的な喫茶店がいいですね。多くの人が出入りするチェーン店と違ってゆったりと過ごせますから、たとえばアートに関する本を読むのにも最適です。
また、店主と会話できるのも、昔ながら喫茶店に行くメリットと言えます。店主と交流を重ねるなかで、たとえば仕事上でつながりのできそうなほかの客を紹介してもらうといったことも起きるでしょう。これは、土曜日のチャレンジデーにある効果と同じものであり、チャレンジデーとリフレッシュデーの一挙両得というのも可能になるわけです。
いずれにせよ、せっかくの休日をただ無為に過ごすのはとてももったいないことです。意図的に戦略的に休日を使うことがウィークデーでの大きな成果につながるのは、世界の一流たちが明確に証明しています。

【越川慎司さん ほかのインタビュー記事はこちら】
世界のトップ5%が実践する「脳の休ませ方」。最小限の工夫で仕事の質が変わる
自己効力感が仕事を変える。世界のエリートが休日に「意外とよかった」を探すワケ
仕事の無駄をなくす方法。「1週間に15分○○する」だけで、労働時間が11%もダウン!
業務時間の43%を占める “あの” 無駄な仕事。省くには「45分設定」が最強だ
元パワポ事業責任者「失敗する資料と成功する資料は、決定的に “ココ” が違うんです」
各社の「トップ5%」がしている特徴的な3つの行動。優秀な人が “ゆっくり歩く” 理由とは?
「トップ5%リーダー」は部下のやる気をあてにしない。代わりに “2つの仕組み” で仕事の質を上げている
“時短” で効率が上がるとは限らない? トップ5%社員が自然にやっている「時間術」の超基本
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
