難しい言葉を使いたがる人が最悪な理由。「伝え上手」が絶対に押さえている3つのポイント

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言っている内容はほぼ同じはずなのに、自分とあの人とで、受け手に与える印象が全然違う……。なぜ自分の話は受け入れてもらえないのだろうか……。こうお悩みの方はいませんか?

営業やプレゼンテーションなどで成果が出ないとお悩みの方は、伝え方をほんの少し工夫するだけで、状況が大きく好転するかもしれません。今回は、物事を上手に伝える方法をご紹介します。

「伝え方」で印象は180度変わる

1997年、アメリカの14歳の少年が書いた「我々はどのようにしてだまされるのか」という論文が科学フェアで入賞して話題となりました。

この論文の内容は、「DHMO」という危険な化学物質がこの世にあるというもの。「酸性雨の主成分である」「海難事故死者の直接の死因となる」「金属を腐食させる」など多くの危険性をはらんでおり、海や湖や工場など、いたるところで検出されているというのです。そして、この少年は、DHMOを規制する署名を50名の大人に嘆願。うち43名からサインを得たのでした。

このDHMOについて、恐怖を感じた人もいるかもしれません。しかしじつは、この物質の正体は「水」。上で挙げた “危険性” も、決して嘘をついているわけではありません。しかし、一部の危なそうな性質だけを強調することで、多くの人が水を危険物質だとみなしたのです。

このように、伝え方ひとつで物事の印象はがらりと変わります。私たちの日々の仕事で役立てられるヒントは何かあるのでしょうか?

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1. 「マイナスの情報」のほうが印象に残りやすい

もし、なんらかの理由で手術を受ける必要があったとします。その際、担当医から「90%の確率で手術は成功する」と言われたら、おそらく安心するでしょう。しかし、「10%の確率で失敗する」と言われたら、どこか不安を感じるのではないでしょうか。

人間には、自分にとってプラスになる情報よりもマイナスになる情報のほうが印象に残りやすい性質があるのだそう。この効果は、心理学では「プロスペクト理論」と呼ばれています。経営コンサルタントの斎藤広達氏は、仕事で物事を伝える際は、この理論を意識するべきだと語ります。

「この製品を導入すると、年間100万円コストが浮くことになります」。これが悪いわけではありませんが、プロスペクト理論を用いれば、このような表現になります。「この製品を導入しないと、年間100万円ずつ無駄なコストを払い続けることになります」。

(引用元:東洋経済オンライン|「ネガティブな数字」には妙な説得力がある理由 ※太字は筆者が施した)

「本日契約すると2割引きになる」ではなく「明日だと通常価格での契約になってしまう」。「この製品にはこんなメリットがある」ではなく「この製品を使わないとこんなデメリットを被ってしまう」。このように、マイナスの情報のほうが印象に残りやすい性質を逆手にとれば、こちらが望む行動を相手に起こさせることが可能になるのです。

プロスペクト理論については、「プロスペクト理論とは? 行動経済学を身近な例でわかりやすく解説!」で詳しく解説しています。

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2.「最後のプラスワン」で後押しできる

買い物をしたとき、お店の人に「この製品を一緒に買うと、さらに10%引きになります」などと言われ、買う予定がなかったものを購入した経験はありませんか。これも普段の仕事で応用可能。斎藤氏は、「会話の最後に “プラスワンの情報” をつけ加える」ことが、交渉を成功させるポイントと述べています。

例えば、「年間1000万円のコスト削減効果のある製品」のクロージングの際、@変換を使い「社員1人当たり20万円のコストが浮くわけですね」と瞬時に計算して伝える。すると、担当者の中で具体的なイメージが浮かび、最後の一押しになる可能性があります。

(引用元:同上 ※太字は筆者が施した)

ただし、なんでもかんでも最後に付け加えればいいというわけではありません。相手にどんな情報を与えれば刺さるのか、それをしっかり考える必要があります。

たとえば、相手がコストを気にするタイプなのであれば、「他社にくらべて〇円安くなっています」という宣伝文句に惹かれるでしょう。逆に、コストよりもスペックを気にするタイプなのであれば、「容量がかなり増えたので処理速度が5倍になりました」といった情報に惹きつけられるはず。

最後のひと押しを効果的に使うことで、交渉も有利に進めやすくなるのです。

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3. 難しい言葉は無理に使わなくていい

コミュニケーションの基本ですが、話し方や言葉の使い方も、物事の印象を大きく変える要因になります

いい例が、ジャーナリストの池上彰氏です。たくさんのテレビ番組に出演してニュースを解説していますが、池上氏の番組を見て「解説がわかりやすい」と思う人も多いはず。池上氏は、記者時代に上司から「中学生でもわかる原稿を書け」と指導されたことがあるそうですが、池上氏はニュースの内容を “中学生でもわかるように” 語るからこそ、多くの人たちに支持されるのでしょう。

よく、自分を賢く見せたいがために、わざわざ難解な説明をしたがる人がいますよね。しかし、はたしてそれで、相手にはきちんと伝わっているでしょうか。下手をしたら嫌われるかもしれません。

たとえば、営業で新製品をプッシュしたいとき。「この製品によって御社には多大なベネフィットがもたらされます。現状況をドラスティックに変えることができ――」はNGですよね。「この製品を御社におすすめしたい理由は3つ。1つめは――」など、シンプルに誰でもわかる言葉を使えばいいのです。

変にカッコつける必要はありません。伝えるためには、平易な言葉を使うのが、やはり一番なのです

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以上、伝え方のコツや大切なことを3つご紹介しました。ぜひ実践してみてくださいね。

(参考)
週刊アスキー|超危険な化学物質DHMOの正体とは?――ビジネス寓話50選
東洋経済オンライン|「ネガティブな数字」には妙な説得力がある理由

【ライタープロフィール】
亀谷哲弘
大学卒業後、一般企業に就職するも執筆業に携わりたいという夢を捨てきれず、ライター養成所で学ぶ。養成所卒業後にライター活動を開始し、スポーツ、エンタメ、政治に関する書籍を刊行。今後は書籍執筆で学んだスキルをWEBで活用することを目標としている。

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